多くの銘柄を出しているアメリカ・ケンタッキー州のジムビーム社の最高級品にあたるのがこのブッカーズ
ブッカーズは6代目に当たる偉大なマスターディスティラーのブッカー・ノウ(1929〜2004年)の名に由来。
ブッカーズは元々市販されてはおらず、蒸溜所のオーナーだったビーム家で行われるバーベキューパーティーで振舞われていた特別なボトルだったそうな。それを世に出したところ、各方面で評判を呼んだため1988年以来、毎年少量限定生産で市場に出回ることになったという(「このブッカーズが気に入らなかったら送り返してくれ。おれたちが飲むから」というコピーを入れた宣伝用のポスターまで作られたそう笑)
さて、ブッカー・ノウ氏がブッカーズを生み出すにあたり掲げた本来のコンセプトは
「禁酒法以前の本来のバーボン」 (つまり熟成年数も長めで度数も高めな、力強く深い味わいのバーボン)
(ちなみに、アメリカでの禁酒法が施行されたのが1920〜1933年の13年間)
現在はブッカー・ノウ氏の子息で現在ジムビームのマスターディスティラー、フレッド・ノウ氏に引き継がれてはいるが、レシピは門外不出。しかし、樽材や原酒の厳選から特別に管理の行き届いた熟成に至るまでスモールバッチ(10樽前後)で特別に育てられた6~8年熟成のものをヴァッティングし、いずれも加水なしのカスクストレングスで瓶詰めされている。
今回ご紹介するのは、ブッカーズの2018年バージョン(ちなみに、ブッカーズには毎年その出来の差があ理、もちろん味の個性も多少の差異がある)
ブッカーズは箱も豪華。裏にはブッカー・ノウ氏の姿が
さてさて、その香味はいかがなもんでしょうか・・・・
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シロップで濃厚に煮詰めたチェリーとラズベリー
古いオーク材の家具に染みたコカコーラと焦げたキャラメル
火のついた石炭をなめているように
奥から湧き出てくる旨味の熱
93.5点
やはり他のヤワなバーボンとは一線を画す、これがブッカーズか!と唸らせる逸品であることは間違いない。
チェリー、ラズベリー、レーズンやパイナップル、焦げたオーク、コーラやキャラメルなどが渾然一体となったような凝縮されたコアから、
ジュウゥゥ〜ッッ、パチパチパチ
とまるで火のついた石に水をかけた時のような音でも立てそうな勢いで、濃厚なバーボンエキスがこれでもかと湧き出してくる。
度数の高さはそのまま味の深みと厚みに変換されており、いやったらしいアルコール感が全くと言っていいほどない。徹底的にうまみで塗り込められた奥行きの果てしなさ。他のバーボンとはケタ違いだ。
オススメは、水を数滴垂らしてから味わうこと。凝縮されたアロマが緩んで広がり、よりわかりやすく内在されたエレガントな甘み引き出されてくる。
レア度も人気も高く、すぐにプレミア価格がついてしまうので、なかなか原価(七千円程度)では見つからない、しかし、このクォリティならば、ちょっと高めに出してでも飲む価値はあると思う。これを飲んだら他の普通のバーボンは飲めなくなってしまうかもしれないが笑
蘭子