ジャックダニエル・ブラック(Old No.7)のテイスティング&レヴュー・テネシー初、世界一売れている大定番ウイスキー!チャコールメローイング製法が生み出すクリアでメープルスイートな酒!

 

・ジャックダニエルの歴史

 

「ジャック・ダニエル」の商品名は創業者のジャスパー・ニュートン・ジャック・ダニエルに由来する

彼の少年時代の奉公先の教会の牧師・ダン・コール氏は、牧師のかたわらウイスキーの蒸溜所も所有しており、ジャックは幼い頃からそこでテネシー・ウイスキーづくりの特徴である「チャコールメローイング」製法やその他、製造のノウハウを叩き込まれた。

ジャックは、わずか13歳で蒸溜所を譲り受け、16歳になる頃には熟成させたウイスキーをボトリングして販売し始め、さらには彼が20歳の1866年、蒸溜所を国に申請し、アメリカにおける最初の政府公認の蒸溜所とした。

1904年のセントルイス万国博覧会で『ジャック・ダニエルオールドNo.7(後のブラックラベル)』を出品し、金賞を獲得。

これを機に知名度を上げ、ジャックダニエルは世界的に認められるウイスキーとなっていった。

そして1919年に禁酒法が施行。蒸溜所は閉鎖へと追い込まれてしまう。

禁酒法廃止後は、ジャック・ダニエルの甥であるレム・モトローによって再建されるが、彼の死後はブラウン・フォーマン社に買収され、現在にいたる。

 

その後売り上げを伸ばし、現在では単一銘柄としては世界で一番売れているウイスキー(赤・黒・緑など合わせてシリーズものとして一番売れているのはジョニーウォーカー)となっている。

 

また、ローリングストーンズのミック・ジャガーにキース・リチャーズ
レッドツェッペリンのジミー・ペイジ
ヴァン・ヘイレンのマイケル・アンソニーなど
有名ロックミュージシャンたちに愛された酒としても有名である

 

・テネシーウイスキーとは

 

さて、「テネシーウイスキー」を名乗るジャックダニエル、実はアメリカンウイスキーの殆どを占める「バーボンウイスキー」と材料、製法自体はそれほど変わらない。

バーボンウイスキーを名乗る条件は以下

(1)アメリカ合衆国内で造られている(しかし9割はバーボン郡のあるケンタッキー州で作られている)
(2)原料となるトウモロコシの比率が51%以上
(3)アルコール度数は蒸溜時で80%以下、瓶詰め時で40%以上
(4)中身を焦がした新品のオーク樽で2年以上熟成

 

ここまではジャックダニエルにおいても変わらない部分。
では、バーボンとテネシーウイスキーの違いは?

テネシーウイスキーは、上記に2つの条件が加わることになる

(5)テネシー州内で造られていること(現在はテネシー州以外で作られているものも)
(6)「チャコール・メローイング製法」(※)でつくられていること

 

 

チャコール・メローイング製法とは、蒸溜したウイスキー原酒をテネシー産のサトウカエデ(Sugar maple:樹液はメープルシロップの原料となる)炭でろ過する製法のこと。これにより、雑味が取り除かれるとともに、サトウカエデ由来のまろやかな風味が加わり、味わいに独自の個性を生み出している

 

ちなみに、圧倒的に有名なジャックダニエル(や次に有名なジョージ・ディッケル)の影に隠れて目立たないが、他にもテネシーウイスキーを作る蒸溜所は現在30以上も稼働している。

 

 

 

↑サトウカエデの木炭を積み重ねた巨大な濾過槽

https://www.jackdaniels.com/vault/charcoal-mellowingより

その他にも、トウモロコシの使用率が80%、と平均的なバーボンウイスキー(大体72~77%程)よりも多いことがそのまろやかな甘さの秘密の一つでもある。

また、仕込水に前回の蒸溜の際に底に残った液(穀物をすりつぶした「マッシュ」と呼ばれるもの)の上澄み部分を加える「SOUR MASH(サワー・マッシュ)」という製法が取り入れられてもいる(糖化の効率を上げ、さらに香り高い発酵液が得られることから原酒の香味を豊かにする効果をもたらす)

 

 

 

 

さて、そのお味は・・・

 

 

焦げた若木の切り株に垂らしたメープルシロップ

セメダインを混ぜたキャラメルバナナ

澄んだ水に溶かしたドライオレンジピールとビターチョコ

 

 

88点(バーボンとは一線を画す、唯一無二の澄み渡るビター&スイート)

溶剤や接着剤を思わせる酸味にバニラやキャラメルなどが絡む、バーボンぽいテイストもあるが
ジャックダニエルはより雑味が少なく、クリーンで澄み渡った舌触りと喉越しの中でそれが楽しめる
このスルスルーっといけてしまうクリアな飲みやすさと甘さは、やはりバーボンよりも全然間口が広そう
ロッカーたちがラッパのみしたりしていたのは、この意外に滑らかでクリアな飲みやすさがあるからだろう。

そしてやはりなんといっても、濾過に使ったサトウカエデの炭からくるメープルでメロウ(まさにメローイングされた味)な甘味、バナナと溶剤が混ざったような澄んだエステリーさ、独特の焦げ感もあるウッディでビターな余韻、
そういったテネシーウイスキーならではの風味が素晴らしい。

ゴツく硬派な外見に似合わず、甘くてクリアで滑らかで、飲み疲れしないメロウな酒だ

コーラやジンジャーエールで割ると美味しいのは有名。ハイボールでも独特のウッディなビターさがキリッと際立ってうまい。
簡単に清涼感あふれるジュース酒が作れる。夏にぴったりな酒だ

蘭子

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