アイリッシュのブレンデッドウイスキー「ジェムソン」は
アイリッシュウイスキーの中で最も出荷量が多いブランドで、日本でもスーパーやコンビニでも見かける程よく出回っているウイスキーである。
歴史を辿ってみると、1786年ごろ、ジョン ・ジェムソンとその息子がダブリンにあったボウ・ストリート蒸留所(もともとジェムソンの妻のいとこの実家が1780年に設立したもの)の経営権を取得したのが始まり。(1810年にはジョン・ジェムソン・アンド・サン・アイリッシュ・ウイスキー社が設立)
ジェムソン蒸溜所(元ボウストリート蒸溜所)は元々アイルランドの首都ダブリンの中心街に位置していたが、現在は閉鎖されている(1975年に閉鎖)。
現在の「ジェムソン」はアイルランド南部の「新ミドルトン蒸溜所」(※)で造られている
(※新ミドルトンはアイルランド南部、大西洋航路の基点でもあるコークにある巨大な蒸留所(容量14万リッターの世界最大のポットスチルでも有名)。コークディスティラーズ、ジョン・ジェムソン&カンパニー、ジョン・パワーズというアイルランド南部の3社が合併して1966年に誕生したアイリッシュディスティラーズ社が経営している。
1825~1975年まで150年間操業していた旧ミドルトン蒸留所の背後に建設された。
主要銘柄はポットスチルウイスキーのレッドブレスト、グリーンスポットの他、 古酒をブレンドした希少なミドルトン・ベリーレア、ブレンデッドのジェムソンやタラモア・デューなど多種多様)
ジェムソンはポットスチルウイスキー(※)とグレーンウイスキーをブレンドしてつくられている。
(※ポットスチルウイスキーとはノンピートの麦芽と未発芽の大麦の両方が原材料に使用されたウイスキー(未発芽の麦芽が麦のオイリーさをもたらし、アイリッシュ独特の豊かな風味をもたらす)
ちなみにポットスチルウイスキーとグレーンウイスキー共に単式型ポットスチルで3回蒸留。アイリッシュならではのクリーンでスムースな酒質を生んでいる
さて、そのお味は・・・
煮詰めたハチミツと青リンゴ果汁
夏草の草いきれと皮ごと絞ったライムジュース
ホイップクリームをかけた洋菓子
87点(個性と深みがある、コスパ良しなウイスキー)
スルスルーっといけてしまう恐ろしいほどの飲みやすさ
ライトでクリーンな酒質、青リンゴやライムの果汁と皮、そして夏草の香りが
爽やかな酸味とビターさを演出、
そして芯にはホイップクリームを塗った洋菓子のような甘味が豊かにある。
ありふれた軽い酒だと舐めてかかってはいけない。スコッチの重厚な甘味や容赦ないスモーキーさに慣れている人こそ、このジェムソンをじっくり飲んでみて欲しい。
フルオーケストラの重厚な響きや、ヘヴィなバンドサウンドも素晴らしいが
軽やかな弾き語りの中に、癒しに溢れた清涼感と、意外に多層的で素敵な味わいを見つけてしまうかもしれない
ストレートで味わうも良し、ハイボールにしても抜群に良し。アイリッシュコーヒーを作って暖まるのも良し。
蘭子