レッドブレスト15年のテイスティング&レヴュー・アイリッシュの伝統「ピュアポットスチルウイスキー」の底力!

レッドブレストは1939年に誕生したブランドで、当時はダブリンの今はなきボウストリート蒸溜所で作られていた。

アイルランドでも70年代にはモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜたスコッチでもお馴染みのブレンデッドウイスキーが登場(ジェムソンやタラモアデューなどが有名)し、コストパフォーマンスと親しみやすさから主流となっていくが、一方でアイリッシュの伝統的なポットスチルウイスキーにこだわってきたのが、このレッドブレストである。

現在は1975年に復活した新ミドルトン蒸溜所にて作られている。

新ミドルトンはアイルランド南部、大西洋航路の基点でもあるコークにある巨大な蒸留所(容量14万リッターの世界最大のポットスチルでも有名)。コークディスティラーズ、ジョン・ジェムソン&カンパニー、ジョン・パワーズというアイルランド南部の3社が合併して1966年に誕生したアイリッシュディスティラーズ社が経営している。1825~1975年まで150年間操業していた旧ミドルトン蒸留所の背後に建設された。

新ミドルトン蒸溜所は、広大な敷地と豊富で良質の水に恵まれ、シングルポットスチルからグレーンウイスキーまで生産する複合蒸溜所として稼働している。

主要銘柄はポットスチルウイスキーのレッドブレスト、グリーンスポットの他、 古酒をブレンドした希少なミドルトン・ベリーレア、ブレンデッドのジェムソンやタラモア・デューなど多種多様。

アイリッシュ蒸溜所マップ(2017年版)

さて今回のレッドブレスト

そもそもポットスチルウイスキーとは 


ポットスチルウイスキーは、アイルランドのみで造られているウイスキーの種類である。
原則として

・原料は大麦麦芽(モルト)30%以上、未発芽の大麦30%以上、他ライ麦や小麦、カラス麦などをブレンドする。

・蒸留は、単式蒸留器(ポットスチル)で3回
ということが決められている


スコッチやジャパニーズでは用いられない未発芽の大麦を用いることで、穀物本来の風味が醸し出されたり、大麦由来の独特なオイリーな口当たりを付加したり、といった特徴が現れることで知られている。

中でも単一蒸溜所の原酒のみを使ったポットスチルウイスキーは「シングルポットスチルウイスキー」と呼ばれ、レッドブレストはこれにあたる。さらにはレッドブレストに使われているのはモルトと未発芽の麦芽のみ。1939年に誕生して以来、他にはない「ピュアポットスチルウイスキー」のあり方を守り抜いてきた銘柄である。

今回ご紹介するのはオロロソシェリー樽で15年以上熟成された原種をバッティングしたものである。

※ちなみにラベルに描かれた赤いコマドリは、ヨーロッパでは春を告げる鳥としても知られている。コマドリの胸が赤いのは磔にされたキリストの頭のイバラを抜いたのがこのコマドリとされているから。昔から聖職者の鳥として大事にされてきたそうな(本当かどうかわからないが、牧師や神父の酒棚には、必ずレッドブレストがある、と言われている)

さて、その香りとお味はいかがなものだろうか・・・
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バターキャンディとダークチェリー
ヴィンテージオーク家具の上のドライレーズン
バーボンを垂らしたドライリンゴチップ
ダークメープルシロップで煮詰めたアプリコット

91点

シェリー樽の個性からくるドライレーズンや皮付きのドライアップル、またはアンティーク家具ような香味の中に、長熟のバーボンにあるような滑らかで上品なバニラテイスト、ダークメープルシロップやバターキャンディのような濃厚なお菓子感も感じられる。

ボディ感はディープでトロリとした濃厚な甘み、しかしそれでいてやはりアイリッシュらしいスムースさもある。このバランスは他になかなかない

個人的にはアイリッシュウイスキー独特のうまさに目覚めてしまったきっかけとなった一本である。

スコッチとはまた違った別の宇宙の扉を開けてみて欲しい

蘭子

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