ロッホローモンド12年のテイスティング&レヴュー・多彩な原酒の混合から生まれた不思議にカラフルな個性派ウイスキー

ロッホローモンドは、1966年に今はなきリトルミル蒸留所の第2工場として、スコットランド最大の湖であるローモンド湖畔に誕生した。ハイランドの南、ほとんどローランドとハイランドの境目に位置する蒸溜所である。

その後オーナーが何度も変わり、紆余曲折の末、2014年のオーナー変更により生産ラインなどが大幅に拡充。

このロッホローモンド12年は、2016年に発売された新生ロッホローモンドを象徴する新定番である。

ロッホローモンドの特徴は

タイプの異なる麦芽(ノンピート、25ppmのミディアムピート、50ppmのヘビーピート)
異なる酵母(ディスティラリー酵母とワイン酵母)
異なる蒸留器(ストレートタイプの「ローモンドスチル」、トラディショナルな玉ねぎ型)
などの組み合わせから生まれる、8つもの異なるニュースピリッツが駆使されているところ

これらの配合具合を変えながら、様々なラインナップを生み出している。2007年に導入されたコフィータイプの連続式蒸留機により、シングルグレーンウイスキー も作られている。

また、蒸留所内にクーパレッジ(樽工場)を保有する数少ない蒸留所のひとつでもあるそうな

今回ご紹介する「ロッホローモンド12年」は、フルーティでライトなもの、ヘビーピートなものなど、蒸溜所の多彩な原酒から4タイプの原酒がブレンドされた、まさにこの蒸溜所を象徴する一本。

ちなみに、東京ウィスキー&スピリッツコンペティション2019年では、12年もののスコッチでは唯一の金賞受賞をしている(それで気になって自分も飲んでみた。)

さて、どんな感じだろうか・・・・

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日に燻された羊皮紙にしみたユーカリオイル
桃の濃密果汁と梨のシロップ漬け
笹の葉でくるんだハイカカオチョコ

90点

実にユニークかつ複雑、しかし絶妙な組み合わせ。
触れ込み通り、確かに香ばしい段ボールと言うか、日に燻された羊皮紙のような、独特のウッディネス
そして、ユーカリ(のど飴とかに配合されているハーブっぽいやつ)や笹の葉を思わせる不思議に爽やかな香りと、ハイカカオチョコのようなビターな焦げ感のあるピート香。さらにはハチミツや桃のような甘さが下からジュワッと引き出され、オイリーにまとわりついてくる。不思議で複雑なフレーバーをまといつつ、しっかりフルーティ。それぞれ異なるフレーバーを持つ原種の絶妙なブレンドの妙が、非常にユニークなバランスを生み出してしまっている。
現オーナーに渡る前までは、段ボールっぽい味とか言われ、どうにもあまり評判は良くなかったようだ笑。しかし今やTWSCにて、スコッチシングルモルト12年以下部門では最高得点を獲得してしまう程のハイクォリティに変貌している。飲んでみてなるほど、と思った次第。昔のロッホローモンドは飲んでいないが、確かに生まれ変わったのだろう。個人的にもかなりイチオシの一本

蘭子

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