イチローズモルト・ダブルディスティラリーズのテイスティング・秩父と羽生のマリアージュ。再現不能の鮮烈な味わい

今回ご紹介するのは、イチローズモルトのリーフラベルシリーズのひとつ、「ダブルディスティラリーズ」である。

ベンチャーウィスキー・イチローズモルトの立ち上げは2004年。現在のメインステージである秩父蒸留所設立は、2007年(蒸留開始は翌2008年)。

未だ新しいが、すでに国際的なコンペティションで連続受賞を達成し、今や世界的な名声を得る蒸留所である。

2016年以降のジャパニーズウィスキー新蒸留所建設ラッシュの種を蒔いたとも言える、ジャパニーズウィスキー新世代のパイオニアだ。

(イチローズ・モルト・カードシリーズ「キング オブ ダイヤモンズ」 は、世界的なウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』のジャパニーズモルト特集で最高の「ゴールドアワード」に選ばれ、
さらに、世界最高のウイスキーを決めるWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)では、2007年以降5年連続でカテゴリー別日本一という栄冠に輝いている)

創業者・肥土伊知郎氏は、サントリーに勤めた後、酒造メーカーである実家の事業の運営に携わったが

そこで目を付けたのが、元は実家が経営していた今は無き「羽生蒸留所」で蒸留された原酒だった。

経営悪化のために廃棄寸前だったこの羽生蒸留所原酒(約4000樽あったという)を守ること、

この原酒を使ってオリジナルのウィスキーづくりに乗り出すこと

それがイチローズモルト創設の原動力だった。

今回紹介する「ダブルディスティラリーズ」は、その羽生蒸留所の原酒(シェリー樽熟成)と、後に秩父の地に創設された秩父蒸留所の原酒(ミズナラ樽熟成)を混ぜ合わせて作られた(もちろん他の原酒も配合されている)ものである。

WWA2009(ワールド・ウイスキーアワード)ベスト・ジャパニーズ・ブレンデッドモルトに選ばれた評価の高い傑作であり、小規模生産のため、作るウィスキーが高品質ながら希少性が高いイチローズモルトの作品の中でも、再生産不可能な一品のひとつである。

↓秩父の風景

さて、その味わいは・・・

夏の針葉樹林の草いきれに混ざる甘い樹液

ログハウスのベーカリーからかすかに漂ってくる焼きたてクロワッサンの香り

ジンジャーとメロンとホワイトペッパーの

スイート&スパイシーなミックス果汁のシャワー

92点

感激モノである。

本場王道のスコッチにもない、ジャパニーズの古株にもない、

秩父と羽生にしかない森と草原の香りに包まれた鮮烈で甘くてスパイシーな香味

レアものでプレミア価格ついてしまっているが、

ぜひともどこかで見つけたら味わっていただきたい一品である。

鮮やかな風景が生け捕りにされた傑作である

蘭子

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