リンクウッド12年(花と動物シリーズ)のテイスティング&レヴュー・桃の天然水に花の香り、色気漂う美女ウイスキー

今回は『UD社 花と動物シリーズ』より「リンクウウッド」(蒸溜所のあるスペイサイドのエルギン地区の貴族の邸宅名が由来。名前通り、深い森に囲まれた美しい土地だったそうな)オフィシャルとしては唯一の、花と動物シリーズから出ている12年ものを。
蒸溜所は1821年に設立。9割がブレンド用(中でもジョニーウォーカー のグリーンラベルの4柱のキーモルトの一つとして有名)に使われているが、花と動物シリーズの本作や、ボトラーズものがシングルモルトとして出回っており、評判は高い。


花と動物シリーズとは、現在は世界最大の蒸留所オーナーであるディアジオ社に合併されたUD(ユナイテッドディスティラーズ)社がリリースしている、ラベルに花や動物が描かれたシリーズ。

リンクウッドの白鳥マークは、蒸溜所内の冷却水を貯めておく池に毎年飛来してくる白鳥から。蒸溜所のシンボルにもなっている。

かつてから比べるとラインナップは縮小されている(代わりに、当初は蒸溜所オフィシャルがなかったものが、蒸溜所オフィシャルをちゃんと出し始めたり)が、オフィシャルではリリースされていない蒸留所のシングルモルトを楽しめるシリーズである

ちなみに、現在のラインナップは以下(北ハイランドのティーニニックや南ハイランドのブレアアソール以外は殆どがスペイサイドのもの)

・グレンロッシー(GLENLOSSIE)10年
・オスロスク(AUCHROISK)10年
・グレンスペイ(GLENSPEY)12年
・マノックモア(MANNOCHMORE)12年
・ストラスミル(STRATHMILL)12年
・リンクウッド(LINKWOOD)12年
・インチガワー(INCHGOWER)14年
・ベンリネス(BENRINNES)15年
・ダルユーイン(DAILUAINE)16年
・ブレアアソール(BLAIR ATHOL)12年
・ティーニニック(TEANINICH)10年

↓スペイサイドの主な蒸溜所

さて、その味わいは如何なるものだろう・・・・・

白い花弁を添えた桃の天然水
薔薇の芳香
ねっとり絡むハチミツとバター
水に溶かした練乳入りレモンキャンディ

90点

まるで桃の天然水か、レモンキャンディか、というフルーティな風味に濃厚なヘザーの花の香り。しかも、薔薇のような強い芳香や、練乳のようにねっとりと絡みつく濃厚なハチミツが色気ムンムン。

「花と動物シリーズ」の中でもたぶん最もスペイサイドらしい正統派な華やか美女ウイスキーという感じである。クラガンモアなどにも近いテイストだが、このリンクウッドの方がより強い花の香りと濃密な甘さがある。

フルーティで甘くてフローラルで華やか、そして濃厚濃密な色気、そんな美女要素を兼ね備えたウイスキーを探しているなら、文句なしに薦めたくなる傑作だ。

蘭子

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