ダルウィニー15年のテイスティング・寒冷地の美酒。山岳地帯の花の香りと蜜の味

ダルウィニー(※)は、スペイ川最上流部、中央ハイランドにある

山岳地帯の自然に恵まれた蒸留所。

※「ダルウィニー」とはゲール語で「集結所」の意味(ハイランドからローランドへ家畜を売りに行く際の中継点だったことから)

ダルウィニー蒸留所はもっとも高地、かつもっとも寒冷地にある蒸留所としても有名である。15年と、エントリーモデルとしては長熟であるのは、寒冷地で、じっくりと熟成されていくため、完成といえるまで15年という長さが必要となってくるから。また、ヘザーの花が咲き乱れるグランピアン山脈の雪解け水を湛えたアルタナスイー川に取水した仕込み水が使われており、それがこのウィスキーならではの柔らかな味わいをもたらす要因の一つでもある。

1887年の創業当初はストラススペイ(スペイ川の広い谷)蒸溜所と名乗っていた。しかしすぐに経営破綻し、1905年にアメリカのクック&バーンハイマー社に買い取られた後、ダルウィニーに名前が改められた。
そのクック&バーンハイマー社もアメリカの禁酒法で倒産し、再びスコットランド資本の手に渡り、1926年からはDLC社の運営である。

標高が高く、周りに遮るものがないため、政府の気象観測所も兼ねている、という珍しい形態でも有名で、蒸留所スタッフは毎朝気温と湿度を計測しているという。

今回ご紹介するのは、基本の15年モノ。
ちなみに、ディアジオのクラシックモルトシリーズにて北ハイランド代表として選ばれた名作でもある。

ちなみにヘザーの花が咲き乱れるグランピアン山脈の雪解け水を湛えたアルタナスイー川に取水した仕込み水が使われており、それがこのウィスキーならではの柔らかな味わいをもたらす要因の一つでもある。

さて、そのお味はいかなるものだろうか・・・

ハチミツのまつわりつくシトラスフルーツ

白い花を添えたバニラがけ洋ナシのコンポート

涼やかに香ばしい麦のビター

90点

かなり「ハチミツ感」の強いウィスキー。
これぞヘザーハニーか、という花の香りもまとうハチミツが、シトラスや洋梨のフルーティな酸味と甘みにまつわりつくようにねっとりときてすばらしい。

15年という長い熟成期間を経ただけあって、実に香り高く、優しいモルティさがある。そして冷涼な山岳地帯の風景が浮かぶような、爽やかにビターな余韻。
「ウィスキーはまさにその土地が育てる」ということを体現する、北ハイランドの花々咲く山岳地帯の美しい風景が口の中に広がるような美酒である。

蘭子

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