グレンゴイン10年のテイスティング&レヴュー・ハイランドとローランドの間のライト&モルティな癒し系モルト

グレンゴイン蒸溜所(1833年創業。グレンゴインとは「野生の雁」の意味)

は、スコットランドは南ハイランドの蒸溜所(↓ハイランドの主な蒸溜所。グレンゴインは一番下)

カンヌ映画祭審査員賞受賞作「天使の分け前」のロケ地ともなったこの蒸溜所

ハイランドとローランドのちょうど境界線に位置している(かつてはローランド的な3回蒸留をしていたこともあるらしい)そのせいか、その酒質はローランド的なライトでソフトで繊細な個性がある。

しかし、仕込み水が北のダムゴインの丘から流れてくるため、一応は「ハイランドの蒸溜所」として名が通っている、とのこと。

元々シングルモルトとしてのリリースは少なかったものの、2003年にスコットランドで長年にわたりブレンドやボトリングを手掛けてきた老舗ボトラーズであるイアン・マクロード社がオーナーになってからは、シングルモルトとしてのリリースにも意欲的に。

グレンゴインは、全くピートを炊かないノンピート)麦芽を使用し、スコッチの中でももっとも長い時間をかけて蒸留することでも有名。ポットスチルの銅に原酒が長い時間触れることが、グレンゴインのなめらかでマイルドな酒質を生む要因のひとつ

今回は、シェリー樽原酒30%、リフィルのバーボン樽原酒70%という割合で構成されたグレンゴイン10年をテイスティングしてみた。

さて、いかがなものでしょうか・・・・

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

桜餅と水に溶かした甘露飴
ハーブソルトをかけたハニーバタートースト
シナモンアップルパイとアーモンドミルク
薄緑色の麦畑のビター&スイート

89・5点

ソフトでライトでマイルド。非常に飲みやすいが、決してのみごたえや個性が薄いわけではない。

最初に香る桜餅や甘露飴のような甘味は和菓子にも合いそうだが、さらに味わえばそこにかすかな塩気とリンゴとシナモン、そしてアーモンドミルクのような優しいミルキーさが訪れる。
で、グレンゴイン最大の良点は、そのマイルドだがじんわりと余韻が響くモルティ(麦芽のもろみに由来する旨味)さだと思う。
この優しく染みてくるモルティな香味、フレッシュな麦っぽいビター&スイートに癒される。

当初はどうも地味なヤツだなー、と思っていたが、しばらくして気づいた。こいつがとっても素敵なヒーリングミュージックを奏でていることに。淡い水彩で描かれた麦畑のようなものがそこに広がっていることに。

3000円代でコスパも良し。分かりやすいウィスキー ではないかもしれないが、後々染みてくるかも。つくづくシングルモルト面白い

蘭子

おすすめの記事