オルトモア12年のテイスティング&レヴュー・フレッシュ&モルティ!知る人ぞ知るスペイサイドのバランス王!

1897年にスコットランド・スペイサイド地区の「フォギー・モス(霧が深い湿地)」と呼ばれる場所に創業されたオルトモア蒸留所

Aultmoreとはゲール語で「大きな小川」を意味する(蒸留所近辺を流れるオーヒンデラン川に由来するといわれている)
1923年以来、ジョン・デュワー&サンズ社によって運営されてきたが、1998年にラム酒のメーカーとして有名なバカルディ社の傘下に入り現在に至る。

VAT69、デュワーズ、ジョニーウォーカー黒ラベルといったブレンデッド・スコッチ・ウイスキーの原酒として使われてきた( 特にデュワーズのキーモルトのひとつとして有名)が、オフィシャルのシングルモルトとしてはあまりリリースされる機会がなかった。しかし世界的なウイスキーブームを受けて、デュワーズ社が「ラストグレイトモルト」シリーズ(他にロイヤルブラックラ、マクダフ、クライゲラヒなども)の一つとしてシングルモルトとして発表。

一説では、スコットランドのウイスキー産業内でトップクラスと評価される12のモルトの内の一つ、らしい。

オルトモア蒸留所で使用されるモルトはノンピートだが、味わいにはかすかなピート香がある。仕込み水を得るフォギーモスの泉は泥炭地であり、そこからピートの香りがかすかに混ざるのだそうだ。

さて、その香りとお味はいかがなものだろうか・・・
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大麦の苦味とバニラアイス
皮ごと頬張るマスカットと白葡萄
焦げた若木とかすかな煙
練りこんだすりおろしリンゴ

89点

白葡萄やマスカット、リンゴなどの瑞々しいフルーツや、バニラなどの親しみやすい甘味が豊かだが、芯に樽由来と思われるスパイシーな木香がありキリッとしめている。
そしてノンピート麦芽なのに、かすかにスモーキーなコク。これは仕込み水に混ざったピートからくるもののようだ。
突出した特徴はないが、いろいろな要素をバランスよく詰め込んでおり、しかもちゃんと濃厚で味わい深く、12年ものウイスキーとしてはマイナーなのがもったいないくらい万人ウケしそうな素晴らしいウイスキーだと思う。業界内での評価が高いのもうなづける。
ウイスキーハマりたての人に勧めるにもかなり良いし、キャラクターの突出したものに慣れてしまった人が改めてかえってくるバランスに優れた良いウイスキーとしてもオススメしたい

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