ジョニーウォーカーブラックラベルのテイスティング・定番ジョニ黒、その海と山を結ぶマジック

今回ご紹介するのは、ブレンデッドウィスキーのジョニーウォーカーブラックラベル

通称「ジョニ黒」、言わずと知れた、ブレンデッドスコッチウィスキーの世界的な定番商品として有名な一品である。

歴史をたどってみると

1820年にスコットランド南部のキルマーノックKilmarnock)の地で当初は食料雑貨店として創業されたのがはじまり。1830年頃からウイスキー製造を開始。

創業者ジョンの愛称に因んだジョニー・ウォーカーのブランド名で販売されるようになったのは1909年から。

1823年に酒税引き下げの機会を得たジョンは様々なアルコール飲料を販売して利益を上げた。1825年以降になるとウイスキー販売を事業の中心にするようになり、またジョン自身も蒸留所を開設した後に他の蒸留所とも取引してヴァッテッド(ブレンデッド)モルトのウィスキーを製造するようになった(ウォーカーズ・キルマーノックWalker's Kilmarnock Whisky)と名付けられて一定の知名度を獲得した)ジョンは1857年に死去し、息子のアレクサンダーが事業を引き継いだ。

発売当時、シングルモルト・ウイスキーが中心となり販売されていたが、当時のシングルモルトは味が安定せず当たり外れが大きかったらしい。そんな中様々な種類のウイスキーをブレンドし、安定した美味しさを提供したこのウィスキーは大きな評判を呼んだのだそうだ。

2代目アレクサンダーは鉄道の開通を好機ととらえ、事業を拡大。今日の象徴的な四角いボトルはこの1860年頃に誕生(荷箱に隙間無く詰め込めるようにして大量輸送を助ける為だったそう。またボトル幅の狭さに合わせてラベルを斜めに貼るようにした)。1865年には、より大量の生産に対応するべくヴァッテッドモルトのウォーカーズ・キルマーノックにグレーンウイスキー(※1)をブレンドしたオールドハイランド(Walker’s Old Highland)の製造を開始。これが現在に繋がるジョニーウォーカーの原型。

三代目のジョージGeorge Paterson Walker)とアレクサンダー2世Alexander Walker II)は、1909年にオールドハイランドを改称してジョニーウォーカーJohnnie Walker)のブランドを立ち上げた。これは創業者である祖父ジョンの愛称に因んだもの。ブランドロゴに描かれているのは洒落者として知られていた在りし日のジョンの姿。白ラベル(6年物)、赤ラベル(10年物)、黒ラベル(12年物)の三色が世に送り出され、ジョニーウォーカーはイギリス国内のみならず海外にも広まった。事業の急成長とウイスキーの生産拡大に伴い、経営面を担当するジョージはスコットランド各地の蒸留所を次々と買収した。

(一部ウィキペディアより拝借)

当初はホワイト、レッド、ブラックというラインナップだったようだが、現在、白は消え、

レッド(販売当初は10年モノとされていたが、現在は不詳。ウィスキー入門者におススメしたい安ウマな一品)

・ブラック(タリスカー、カーデュ、ラガヴーリンなどをはじめ数多くの原酒を配合した贅沢なブレンデッド、12年以上熟成されたものが使われている。2000円代で買える割に完成度が高く、ブレンドの妙が冴えている。よく味わって飲むべき一品。)

・ダブルブラック(元々スモーキーさのあるブラックラベルの風味にさらにスモーキーフレーバーを加えたもの。個人的にはラインナップ中いまひとつ好きになれない一品・・・)

・スイング特徴的な壷状のボトル。豪華客船の旅の中で揺れ動いて倒れないために考案されたと言われる。スペイサイドモルトがベース。スイングは”揺れ動く”と共に”洗練された”という意味も)

・グリーン1997年にピュアモルト15年物Pure Malt 15 Year Old)の銘柄で発売され、2004年にグリーンラベルとなった。ジョニーウォーカーラベルの中で唯一のモルトオンリーのブレンデッドであり、タリスカー、クラガンモア、リンクウッド、カリラといった15年以上熟成のシングルモルトがブレンドされている。2013年春に一時販売中止されたが、2016年8月に復活。また、カリラ、クライヌリッシュ、グレンキンチー、カーデュをブレンドしたアイランドグリーンラベルも免税店向けに発売されている。非常に香り高く複雑で、ジョニーウォーカーもこのあたりから高級感が増してくる)

・ゴールドまたはゴールドラベルリザーブ18年以上熟成の貴重な原酒を配合した高級ブレンデッド。クライヌリッシュモルトをベースにして、選び抜かれた数多くの原酒が加えられている。創業三代目アレクサンダー2世が遺していたレシピノートから誕生した。現在は熟成モルトがなくなった事で生産中止を余儀なくされ、ゴールドラベルの代理品として、ゴールドラベルリザーブへと生まれ変わった。熟成年数が不詳になった事で補欠を意味するリザーブの接尾辞が付いた。価格も下がり、グリーンラベルと同程度に)

・プラチナスペイサイド(カーデュ)、ハイランド(グレンオードやロイヤルロッホナガーなど)、アイランズ(タリスカー)アイラ(ラガヴーリン)といった幅広い地域から集められた18年以上熟成の厳選シングルモルトとグレーンウイスキーのブレンデッド。歴代マスターブレンダーのプライベートレシピを基にして編み出された、ジョニーウォーカーの集大成的ブレンド。2012年からゴールドラベルの後継品として販売開始され、2017年から18年物Aged 18 Years)と改称された。飲んだジョニーウォーカーの中では個人的にはいちばんうまいかも、と思った一品)

・ブルー(ジョニーウォーカー究極のブレンデッド。熟成年数は明記されてないが、ジョニーウォーカー秘蔵の貯蔵樽の中から取り出された数々の貴重な精選原酒が使われており、それらは15年から60年の熟成物と言われる。ブルーラベルは元々、ジョニーウォーカーが英国王室御用達となった1934年に製造された国王ジョージ5世記念版に用いられた名誉ある色であり、その栄光を復古したもの)

(参考wikipedia)

2019年現在、流通している基本ラインナップはこんな感じだろう。他にも限定版や何かの記念版などを合わせれば様々なものがある。

https://www.barrel365.com/johnnie_walker/より

さて、ジョニーウォーカーのに使われる原酒はラベルによって異なるが、主なものとしてつかわれるのは

  • カーデュ
  • タリスカー
  • ラガヴーリン
  • カリラ
  • ロイヤルロッホナガー
  • バルメナック
  • ダルユーイン
  • モートラック
  • リンクウッド
  • クラガンモア

あたり

この他にも40~50種類あまりもの原酒やグレーンウイスキーとブレンドして作られる。

(参考 https://www.barrel365.com/johnnie_walker/)

さて、ではその中でも、タリスカー(アイランズ)、ラガヴーリン(アイラ)、カーデュ(スペイサイド)などを中心に40種類ものモルトやグレーンがブレンドされた「ブラックラベル」は、どんな味わいなのだろうか・・

※1グレーンウィスキーとは、トウモロコシ、小麦などの穀類と麦芽を原料として発酵、蒸溜したもの。風味が軽く「サイレントスピリッツ」と呼ばれている(逆に個性の強さが出るモルトウィスキーはラウドスピリッツと呼ばれる)。薫りの強いモルトウイスキーを飲みやすくするために主にブレンデッド用に使われるが、長期熟成を行ったグレーンウィスキーなどもあり、シングルグレーンウィスキーとしても一部流通している。

https://www.quora.com/What-is-the-best-single-malt-scotch より

焦がしリンゴを海岸の岩ですりおろす

煙幕のかかった濃縮ハチミツ

金属のミネラルが溶けだした昆布ダシの紅茶

87点

島系ウィスキー由来のスモーキーさと海の香りが強めで、定番なわりにクセモノ感がある。

しかし、スペイサイドモルトのおかげか、奥から溢れだす濃縮ハニーが素晴らしい。

2000円代でこんな本格派ウィスキーに出会えるのだから、コスパ素晴らしいと言わざるおえない。

この海と山を繋げるブレンディング魔術を、堪能すべし!

蘭子

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