グレンファークラス12年は
既にご紹介済みの
の姉妹品である。
グレンファークラス蒸留所のポットスチルはスコッチウィスキーの最大メッカであるスペイサイドでも最大級で、直火型のポットスチルを使用。ガスバーナーにより直火炊きで加熱され蒸留が行われる(※)
10年、12年、15年、17年、21年、25年、30年、40年、さらには105(105プルーフ、つまりアルコール60であること)と多彩なラインナップをそろえるグレンファークラス、
シェリー樽、それもファーストからサードフィルまで様々な種類のシェリー樽を使い分けての熟成へのこだわりでも知られている。
今回テイスティングしたのはその中でも12年もの
※ポットスチルの形状や加熱の方法は酒質に大きな影響を与える。大まかに言えば、原酒に含まれるリッチで濃厚な部分と、ライトでスムースな部分、どちらが多く含まれるか、である。
スチルが細く短い程、原酒の温度も、さらには内部密度も高くなり、沸点が高いリッチで濃厚な部分がより多く送られる。逆に太く、長いほど、ライトでスムースな部分のほうが多く送られる。
また、加熱法も、直火のほうが急激な温度上昇をもたらし、必然的にリッチで濃厚な部分が多く送られることになる。グレンファークラスのリッチな酒質は、スチルの直火焚き加熱も影響している。
さて、そのお味はいかがなものだろうか・・・
88点
アンティーク家具や銅食器に載せられたドライフルーツ、という感じのグレンファークラスならではの重厚な本格派シェリー樽熟成感は、この12年でも充分に感じとれる。
3000円代で買える、しかも1リッター瓶が、というところではかなりコスパのいいウィスキーである。
ただ、105の強烈さや15年の深みと複雑さのはやはり及ばないところがあるので、純粋に味を比較して語るとなるとファークラス好きとしてはちょっとこのライトさが物足りない部分もあるかなあ、というところ。
でも逆にこのグレンファークラスならではの重さと濃さがちょっとトゥーマッチ、という人にはむしろこのくらいがちょうどいい、ともとれるかもしれない。
濃い目のファークラス感は苦手、でもコスパが良くてしかも程よく重厚感のあるシェリー風味も感じられて、というのを探しているならば大変オススメな逸品である
蘭子