バランタイン17年のテイスティング・「ザ・スコッチ」の実力。究極のバランスと飲みやすさ!
今回ご紹介するバランタイン17年は、 すでにご紹介済みである バランタインファイネスト バランタイン12年 の姉妹品である 「ザ・スコッチ」との異名すらある名作、 1935年にバランタイン社がカナダのハイラム・ウォーカーに経営権が移った後 1937年、マスターブレンダー・ジョージ・ロバートソンの指揮の元に誕生した銘柄である。 ちなみに、ジョージ・ロバートソンによって選定されたと言われる「バランタイン魔法の7柱」とも呼ばれる代表的な構成原酒としての7種類のモルトがある。 これらは最初から当然のようにして全てが出揃い、ブレンディングされていたわけではないようだ。むしろ各蒸溜所をハイラムウォーカー社が買収し、使える原酒が出揃うに従って徐々に加えられていったもののようだ。   その7つとは以下 スキャパ(アイランズ) オールドプルトニー(北ハイランド) バルブレア(北ハイランド) グレンカダム(東ハイランド) グレンバーギー(スペイサイド) ミルトンダフ(スペイサイド) アードベッグ(アイラ)   この中でも特にグレンバーギー、ミルトンダフなどは当初から味わいの中核を担っていた また上記以外にも最終的に40~50種類以上の原酒が使用されている ブレンディングに必要なグレーンウイスキーも、やはりハイラムウォーカー社が設立したダンバートンに蒸溜所にて製造されるものを使用。         さてそのあじわいはいかなるものだろう・・・           淡い生クリームに溶けたすりおろし青リンゴ 焦げたレーズンとミルクチョコ 澄んだ清流の水に溶けた ハチミツとナッツの甘露 88点   あまりにもするするーっと入ってきて しまうので拍子抜けしてしまうほどに飲みやすい この飲みやすさは同時に個性の薄さ、ともとれなくもないところがあるが、キーモルトをそれぞれ単体で色々味わってみた上で改めてよく味わってみると、多様な味わいが掛け合わされた上での絶妙な好バランスがわかってきた 中心にあるのはグレンバーギーの「麦芽糖やミルクチョコのような甘味」と、グレントファーズの「洋ナシやリンゴやベリー系のフルーティな甘酸っぱさ」。そこにスキャパやプルトニーなどの「海系の潮っぽさ」もちょっぴり、かすかにグレンカダムの「フローラルさ」や、アードベッグ の「煙たいコク」も絡み、奥からミルトンダフの「若草や青リンゴのような芳香」が響いて、全体をキリリと爽やかにしめている(バルブレアのみ未飲なのでこれがどう効いているのかはちょっとわからない)。 12年モノと飲み比べてみると、どちらかといえば12年ものの方が「海系の潮っぽさ」や「煙たいコク」が分かりやすく出ている。ピュアモルトブレンデッドの方は特にそうだ。 個人的な好みとしては、優しい甘味がメインな17年よりも、12年ものの方が好き。味の構成もそうなのだが、17年ものに、もう少し17年以上という長期熟成ならではの深いコクと余韻があったら、と思う。おいしいのだが、ちょっとあっさりし過ぎている感も   蘭子    
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