クラフトジン岡山のテイスティング・老舗酒造の樫樽熟成ジンは鮮烈にスパイシー
  1. クラフトジン岡山の紹介

世界的なブームとなっているクラフトジン(※1)だが、ここ日本で造られるジャパニーズ・クラフトジン(作られる蒸留所は、大手から小規模、老舗から新興のものまで様々)も大注目を浴びている。

これらは海外産のジンとは明確に異なる、日本の地域性が活かされたジンであるのが特徴で、例えば

山椒やヒノキや玉露などが使われた、京都蒸留所の「季の美」、

きんかん、辺塚だいだい、けせんの葉などが使われた、鹿児島のマルス津貫蒸留所の「和美人」、

シークヮーサー、ゴーヤー、グァバの葉、ハイビスカスの花などが入った、沖縄のまさひろ酒造の「泡盛ベース」のジン「まさひろオキナワジン」

日高昆布、干し椎茸、切り干し大根(山わさびやトマトやフキの根などが入っているバージョンもある)などが使われた、北海道の紅櫻蒸留所の「9148」

などなど、それぞれの地域特産品が配合された個性的なクラフトジンが発表されてきている。

今回テイスティングしたのは、日本酒や焼酎、ビールなどを造る老舗の宮下酒造(地ビール「独歩」などは有名)が2015年に新設した「岡山蒸留所」が手掛ける「クラフトジン・岡山」

これは米焼酎をベーススピリッツとし、さらには蒸留後の原酒を焼酎熟成用の樫の木樽で熟成(通常、ジンは樽熟成をさせなくても成り立つお酒である)させて完成させた、画期的かつ個性際立つ一品である

使用されているボタニカルも、ショウガ、オールスパイス、パクチーなどのスパイスや香草、また白桃、ピオーネなど岡山原産の果物、ビールに使うホップなど、非常に個性豊か

※1 ジンとは、穀物類を蒸留して作ったアルコール液(スピリッツ)にジュニパーベリー(ヒノキ科の針葉樹・セイヨウネズの実)で風味付けして再蒸留して作ったお酒の事。通常、香り付けにはジュニパーベリー以外のだいたい5~10種類の多種多様なボタニカル(草根木皮類)も使われることになる(※2)世界各国で流行している昨今のクラフトジンは、それぞれご当地ものの珍しいボタニカルを何種類も使って香り付けをし、個性を競い合っていると考えると良い。

※2 ジンによく使われるのは、ジュニパーベリー(必須)、コリアンダー・シード、アンジェリカ・ルートorシード、オリス・ルート、リコリス、カルダモン・シード、レモンピール(★)、オレンジピール、ジンジャー、シナモンなどなど(http://liquorpage.com/gin-botanical-summary/ より抜粋)

さてさて、その味わいはいかに・・・

鮮烈にスパイシーな生姜とオールスパイス

酸味と苦味のレモンピールとパクチー

それらがビールのホップに感染して

ビリビリっとスパーク

さらにはきりっとした樫の木の香りをまといつつ

鼻腔を突き上げる

一方、オレンジ、ピオーネ、白桃のフルーツ盛りも

米の甘味と溶け合って舌を包み込むのだ

90点

スパイシーなボタニカルやビールのホップの感じ、高いアルコール度数(50度)などもあいまって、刺激的でスパイシーな印象の強い、鮮烈な個性を放つ一品だ。ストレートでは刺激が強すぎる、と感じる人もいるかもしれない。

しかし、米焼酎とジンとビールのあいのこのような甘苦いおいしさや、樫の木やショウガの風味、フルーティさなどがじんわりと沁みても来る、やはり素晴らしい味わいに満ちた傑作だと思う。

500ml版は5000円とちょっとお高めだが、200ml 瓶が2000円前後でも買えるので、気軽にお試ししてみて欲しい。刺激的で目の覚めるような酒を飲みたい人におすすめする。

蘭子

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