Koval ドライジンのテイスティング・シカゴの前衛による、見た目も香味も華々しいクラフトジン

実家がワイナリー兼ディスティラリーを経営するオーストリア出身のロバート・バーネッカー氏(米国オーストリア大使館の元副報道官というキャリアを持つ)と、元大学教授の妻ソナト・バーネッカー氏により2008年の創設された

新鋭の蒸留所・Koval(ユダヤの言葉で黒い羊、の意味。異端者、変革者のニュアンスがこめられている)。

禁酒法時代以来、シカゴでははじめて建てられた蒸留所だったらしい。

Koval誕生以降、シカゴでは500以上ものディスティラリーが造られているらしく、Kovalはまさにシカゴのクラフトディスティラリー復興のトレンド作ったパイオニア的存在であると言える(創業者夫妻は自社での製造のみならず、ウイスキーやジンづくりの技術を若者に伝授する活動も行っているようだ)

製造工程に使われるすべての要素がオーガニックであるというその素材への徹底したこだわり、蒸留の際に使われるロバート・バーネッカー氏の考案設計した先進的な独自のハイブリットスチル、また、アロマディフューザーなどとして飾っておきたくなるような美しくかつモダンな瓶のデザイン(起業家で彫刻家だったソナット夫人の叔母さんによるデザイン)、ブレンドを行わずすべてが徹底管理された樽からのシングルバレルで製造されるという点、などなど、枚挙にいとまのないこの蒸留所独自の数々の特徴については↓の記事に譲るとして

https://www.travel.co.jp/guide/article/27126/

https://www.saketry.com/koval.html

さて、今回そのテイストを紹介したいのが、ウィスキーづくりではすでに名を挙げていたこの気鋭の蒸留所Kovalが作ったジン(※1)である。

ベーススピリッツも原料は契約農家でつくられたオーガニックの穀物で、すべて自社製、

配合されるボタニカルはジュニパーベリーの他、ローズヒップ、コリアンダー、アンジェリカルート、カルダモン、シナモンなど

※1 ジンとは、穀物類を蒸留して作ったアルコール液(スピリッツ)にジュニパーベリー(ヒノキ科の針葉樹・セイヨウネズの実)で風味付けして再蒸留して作ったお酒の事。通常、香り付けにはジュニパーベリー以外のだいたい5~10種類の多種多様なボタニカル(草根木皮類)も使われることになる(※2)世界各国で流行している昨今のクラフトジンは、それぞれご当地ものの珍しいボタニカルを何種類も使って香り付けをし、個性を競い合っていると考えると良い。

※2 ジンによく使われるのは、ジュニパーベリー(必須)、コリアンダー・シード、アンジェリカ・ルートorシード、オリス・ルート、リコリス、カルダモン・シード、レモンピール(★)、オレンジピール、ジンジャー、シナモンなどなど(http://liquorpage.com/gin-botanical-summary/ より抜粋)

Kovalのハイブリットスチル↓

さてその味わいは・・・

薔薇だらけの温室、濃密な香りの充満

多種多様な薔薇の香りの粒子が、

縦糸となり横糸となって編まれた、

クリーミーなまでになめらかな厚手の絨毯

傍にはアンティークの暖炉

着飾った恋人たちの体温

91点

とにかくフレーバーの濃密さと豊かさに圧倒される、そして、じんわりとした暖かさが広がる

瓶のデザインに一目ぼれ、そして試飲してなお一層惚れてしまった、大好きな一本である

薔薇を感じるものとしてはヘンドリクスが有名だが、わたしとしては圧倒的にこのKovalが口に合う

4000円前後で買える。これのバレルドバージョン(樽熟成させたもの)もあるが、香味はかなり違う。

蘭子

おすすめの記事