グレンエルギン蒸溜所はスペイサイドのエルギン地区にある蒸溜所
設立は1898年〜1900年で、スペイサイドで19世紀に建てられた蒸溜所としては最後のものとなった。
スペサイドの主な蒸溜所↑
操業は1902年からだが5ヶ月後に倒産。1930年にDCL社のもとで復活(現在はディアジオ社系列)
グレンエルギンは長らく、ブレンデッドのホワイトホースの核となる重要なモルト原酒として知られてきた。
2001年に「花と動物シリーズ」の一つとしてシングルモルトの12年ものが発売、02年、ヒドゥンモルトシリーズの一本として新しく12年ものが発売された。
さて、その香りとお味は・・・・
ヘザーハニーとオレンジピール
花の香りのソープ
ソープ
ソープ
採点不能
香りの時点ではとても良かった。ハチミツの甘さと花々の美しい風景が広がり、期待感がふくらんだ
口に含んだ時の第一印象も良い。オレンジピールのようなビターさと甘酸っぱさ、ハチミツと花の芳香が絡んでエレガント。
が、しかし、花の芳香のようなものをまといつつも、それは舌の上で微妙なグラデーション変化を経ていった。そして我が味蕾は徐々に人が口に入れてはいけないものの味を感じ出したのである。
何だこれは?シャンプー?石鹸の泡?
「のような」とか「っぽい」とか付け足すことすら拒む、全くそうとしか思えないような気色悪い味が飲み込んだ後もしつこく舌に残り続ける。
あまりのまずさに流しに唾を吐き続けた後、水で口内をゆすがざるをえなかった。
何かの間違いか?と思ってこのウイスキーを何度も口に含んでみたが、やはりこのヤバい程のまんま「石鹸の泡」な味わいは変わらなかった。
ウイスキーの味わいを表現する言葉の中で「パフューミー」(またはパフューム香)というのがある。これがまさに人工的な化粧品や石鹸やきつい香水のような香味を指す、どちらかといえばネガティヴなニュアンスを含む言葉なのだが、つまり今回のこのグレンエルギン12年に私は、その「パフューム」の香味をいまだかつてないほどに強烈に感じてしまったのである。
似たような花の芳香のするソープっぽい香味なら実は他の銘柄にも感じたことがある。例えばクラガンモア、ロイヤルロッホナガーなんかには特にわかりやすく(他にもクライヌリッシュやダルウィニーなんかにも)。だがこれらはまだ「華やかな」とか「フローラル」とか「ちょっぴりソーピーな」などと言って肯定的に捉えられるような程良さがあったものだ。
しかし今回のグレンエルギンはやりすぎだ。もはや人が飲んではいけないものの味だ。
この「パフューム香」やはりハイランドの至る所に咲き誇るヘザー(ヒース)の花々の香りが熟成中のウイスキーにうつるところから来ている(樽は呼吸するので周囲の空気中にある成分をも内部の酒に取り込む)よう。ヒースから集めた「蜂蜜」(ヘザー ハニー)もやはり強烈にど派手な香水の香りがするのだそうだ(別の説では蒸留液が高温のコンデンサーの金属に触れたときに生じる香りであるとも)
例示した他の銘柄に感じられたように、一要素として程よく織り込まれているならば「フローラルで華やか」とも捉えられる。しかし今回のようにそんな味わいがあまりに支配的になってしまうならばただただ「気持ち悪い」としか言いようがない。
グレンエルギン全てがそうなのか?と思ったがシグナトリー のアンチルフィルタードコレクションの12年ものや、ウイスク・イーのオーシャンズシリーズの11年熟成のシングルカスクもののエルギンなどを飲んでみると、どちらも花の芳香はあるものの全体として実にバランスよく、非常に美味であった。
このオフィシャルの12年ものだけ、なぜかどうしても石鹸臭が過剰だ。
しかしウイスキー紹介本のテイスティングコメントにも、ネット上にも、そんな噂はどうやら見当たらない。
ロットによっても違うのだろうか?私の買ったロットだけがたまたま異常だったというだけなのだろうか?
謎を解くためにも、逆の意味でこのボトルをいろんな方に試していただきたい
蘭子