ポートシャーロット10年のテイスティング&レヴュー・ブルックラディ蒸溜所のヘヴィピート新定番!

2000年代に劇的な復活を遂げたアイラ島のブルックラディ

蒸留からすべての樽の熟成、ボトリングまで一貫して地元アイラ島で行うというこだわりと、原料の大麦の原産地の違いを元に同じ銘柄でも明確な区別を設けてボトリングする(アイラ島産大麦を大量に使っているかスコットランド本土のものを使っているか、などで製法や味わいの違いが出てくる)
というこの蒸留所が掲げる「テロワール主義」(※)に基づく様々な実験的な試みで知られている蒸溜所

※テロワールとは、「土地」を意味するフランス語terreから派生した言葉。もともとはワイン、コーヒー、茶などの品種における、生育地の地理、地勢、気候による特徴を指すもの。 土壌、気候、地形など、ある作物にまつわる生育環境こそがその作物の味わいを特徴づけている、という概念)

 

様々なラインナップがあるブルックラディだが、今回ご紹介するのはヘヴィリーピーテッドシリーズの新定番として2018年から流通している「ポートシャーロット10年」だ。

ちなみに既に

ポートシャーロット2008 

ポートシャーロット・アイラバーレイ2011

はレヴュー済み。

 

熟成には、ポートシャーロット・アイラバーレイ2011と同様に、ファーストフィルとセカンドフィルのアメリカンウイスキー樽、またフレンチワイン樽が使われている

アイラ産大麦が100%使われているアイラバーレイに対し、こちらは「スコティッシュバーレイ」つまりスコットランド産大麦を使用(アイラ産も混ざっている可能性はある)、とのこと

 

 

以下公式より

 

ブランドの歴史上初となる年数表記をした定番ウイスキー「ポートシャーロット10年」はマルチヴィンテージ・キュヴェ「ポートシャーロット スコティッシュ・バーレイ」の後継者ともいうべき商品。エレガントさとバーベキューの煙のようなスモーキーさを見事に融合した、ポートシャーロットのフラッグシップ。
新しいグリーンのガラスボトルは伝統的なヘビリー・ピーテッドのアイラウイスキーらしさを取り入れてはいるが、着想、蒸留、熟成、ボトリングのすべてをアイラ島で行った唯一のものであり、他とは一線を画している。
ロッホインダール湾岸での10年の熟成は、スピリッツに深い影響を与えている。長く暗い冬の日に差し込む太陽の光のように、この「ポートシャーロット 10年」が曖昧な世界に光を射し込み、待ち望んだ輝かしい未来をもたらしてくれる。

 

 

 

 

 

さて、その味わいは・・・

 

 

 

 

 

焦げた麦
潮水入りメロンクリームソーダ
焚き火の炭にハチミツとウスターソース
焦げたシーフードとオレンジ果汁

 

90点

焦げた麦とシーフード、薪の炭、はちみつのような甘味と柑橘の甘酸っぱさ(どこかこの甘酸っぱさがメロンクリームソーダを連想させる)

ポートシャーロット・アイラバーレイ2011と劇的な違いは見られないが、大麦の違いからかこちらの方が甘味はやや濃厚。ウスターソースや中濃ソースのような甘味がじんわりと舌に絡みついてくる。アイラバーレイ2011の方が若干ピリッとスパイシーかつ酸味が強い印象。
また10年とこちらの方が長めの熟成を経ているため、樽由来のウッディなコクも若干効いている(アイラバーレイ2011の方は6年の短熟)
どちらにしろ味わいの中盤からアフターテイストに至る若干の印象の違いで、甲乙はつけ難い。どっちもうまい笑

しかしクラシックラディ、ブルックラディ・アイラバーレイ、ポートシャーロット系などブルックラディ蒸溜所関連を飲んできて思うのは、どれも「ムギムギしい」とでも言いたくなるほどに「麦の旨み・甘味」が生々しくジュワッと溢れていること。
アイラモルトというと、海藻混じりの泥炭が醸し出すヨード香を連想するが、
ブルックラディやポートシャーロットに伴う映像は黄金色と茶色の混ざる「麦畑」
その土地の気候と土壌が育てた味わいを大切にするブルックラディが掲げる「テロワール主義」。それがまさしく、この一つ一つ微妙に味わいの異なる麦の香味に、如実に現れていると思う。
樽の個性より麦の個性が主張してくる(もちろん樽づかいが生きているラインナップもあるだろうが)そこら辺がブルックラディの面白いところ

 

蘭子

 

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