グレンバーギー蒸溜所は、スコットランドのウイスキー作りのメッカであるスペイサイドのエルギン地区に隣接したフォレスというところにある。
スペイサイドの主な蒸溜所↑
創業は1810年、当初はキルンフラット蒸溜所と名乗っていたが、1870年の操業中止と1878年の再開を期にグレンバーギ(グレンバーギー)に名前を改められた。
1930年代にハイラムウォーカー社が蒸溜所を買収し、同社の下で近代化・拡張工事が行われた後は、同じく同社の傘下であったバランタイン社の代名詞であり「ザ・スコッチ」との異名すらある名作ブレンデッドウイスキー「バランタイン17年」の味わいの中核を担うモルト(キーモルト)の一つとしても有名になる。
1958年に導入されたローモンドスチルによって蒸留された「グレンクレイグ(Glencraig)」と名付けられたウイスキーを販売していたこともあるが、1981年にローモンドスチルが撤去されてしまって以降、これは幻の銘柄。
今回ご紹介する「グレンバーギー15年」は「ミルトンダフ15年」「グレントファーズ15年」とともに、バランタインの味わいの中核を成してきたが、これまではシングルモルトとしてはあまり出回っていなかった(ボトラーズ系は除く)ものがオフィシャルシングルモルトシリーズ「バランタインシングルモルト」として改めて発売されたもの(主にオーケストラの一員として楽器奏者がソロCDデヴューしました、みたいな)
ちなみに「バランタイン17年」において
グレンバーギーは中核
ミルトンダフは土台
グレントファースは締め
を担当しているんだそうな
グレンバーギーのあるフォレスの風景↓(https://www.britannica.com/place/Forresより)
以下公式より
ブレンデッドウイスキーは、基盤となるグレーン原酒とウイスキーの香りや味わいを決めるモルト原酒がブレンドされます。バランタイン17年では数十種のモルト原酒を使用し、「ミルトンダフ」「グレンバーギー」「グレントファーズ」の3つのキーモルトを重視。歴代5人のマスターブレンダーに受け継がれる絶妙なブレンド技術で、複雑かつ重層的な香り・味わい・余韻を実現しています。
「ミルトンダフ」の力強いしっかりとした基礎ボディー。「グレンバーギー」のフルーティーでスウィートな香り。そして「グレントファーズ」のベリーやナッツを思わせる滑らかで繊細な後味。この幾重にも重なる味わいによって、スコッチの王道と呼ばれるバランタインらしい個性が形成されます。
「グレンバーギー」はバランタインをブレンドする上で中核を担っているシングルモルト。赤リンゴや洋ナシ、そしてカシスのようなフルーティーさと、ハチミツのような甘美さが醸し出す、バランスがとれたアロマ香るリッチな味わいが特長です。豊かで滑らかな口当たりと、長く続くまろやかな余韻をお楽しみください。
さて、その味わいは如何なるものだろう・・・
麦畑にフルーツ果汁と花の蜜の霧雨
オレンジピールを混ぜたミルクチョコ
ハーブとミントを添えた紅茶
シナモンをまぶしたリンゴとカシス
89・5点
まず麦芽の甘味が豊か(ハチミツというよりは麦芽糖という感じ)に、ミルクチョコのように広がる
そして奥からふわーっと染み出してくるオレンジやリンゴを思わせる果汁のような酸味
そこにミント系のハーブティーを思わせる涼やかな芳香もかすかに絡み、複雑繊細
ミルクチョコ的麦芽の甘味の奥に織り込まれた、フルーツやハーブの薄絹が、味わう毎にふわりするりとほどけていく、豊かながら上品な甘味をたたえた一品
バランタイン17年の「中核」を担う、とのことだが、改めてバランタイン17年を味わってみると、舌にじわりと浸透してくる「豊かな甘味」の中に、確かにこのグレンバーギーの麦芽糖+繊細なフルーティさが生きているのを感じた。
ちなみにグレンバーギーはゴードン&マクファイルの蒸溜所ラベルでも結構出ており、筆者は2004年蒸溜2019年ボトリングの(つまり今回レヴューしたのと同じ15年もの)ものも飲んでみたが、特徴的な麦芽の甘味はこちらの方が強く出ていた。
今回紹介したオフィシャル15年は、それよりもハーバルな芳香やリンゴっぽい甘味がわかりやすく、決して悪くはない
でも個人的には、より麦感がわかりやすく出ているGMのグレンバーギーの方が好き
機会があれば飲み比べてみることをオススメします
蘭子