スカイ島のタリスカー、アラン島のアラン、などと並ぶアイランズモルト(他にジュラやスキャパ、レダイグやトバモリーなど)一派の一つとして評価の高い「ハイランドパーク」
スコットランドのスキャパ湾に浮かぶ大小70もの島々からなるオークニー諸島、バイキングの遺跡など豊かな民族風習が残る
その中心メインランドのカークウォールに1798年に建てられたのがハイランドパーク(ハイパークと呼ばれる高台にあったことに由来)蒸溜所である
オークニー諸島メインランド島にある新石器時代のヘンジと環状列石の遺跡群
https://worldheritagesite.xyz/contents/ring-of-brodgar/ より
著名なウイスキー評論家のマイケル・ジャクソン氏が「全モルトウイスキーの中で、もっともオールラウンダーで秀逸な食後酒」と発言したブランドとしても有名であり
有名なブレンデッドスコッチの「フェイマスグラウス」や「カティサーク」のキーモルトでもある。
◎歴史をだとってみると・・・
1798年、デビッド・ロバートソンによって蒸溜所が設立
1816年または1818年、ジョン・ロバートソンが蒸溜所の経営権を握る(蒸溜所が「ハイランドパーク」と正式に名乗り始める)。
1869年にスチュワート&マッカイ社へ蒸溜所を売却
1878年グレンリベット蒸溜所の支配人を務めたジェイムズ・グラントが新たな共同経営者となりハイランドパークはますます躍進
1895年になるとジェイムズ・グラントが蒸溜所を正式に購入
1898年ポットスチルを4基に増設。
1937年になると「フェイマスグラウス」を手がけるハイランド・ディスティラリーズ社が蒸溜所を買収
1979年初のオフィシャルボトル「ハイランドパーク 12年」を発売し、高い評価を得る
という感じだ(参考https://www.barrel365.com/highlandpark/)
https://themaltdesk.blogspot.com/2016/10/highland-park-2003-12yo-distillery.html より
◎製法の特徴
ハイランドパークのウィスキーは基本的にピートがたかれ、スモーキーな部類に入るが、高木が育たないオークニー諸島で採取されるピートは低木のヘザーを多分に含んでいる。ハイランドパーク 特有のスモーキーフレーバーとヘザーのハチミツからくる甘みはここから来ている。
また、一部、伝統的なフロアモルティングも行っている(1 2日間水に浸した大麦を床に広げ、4時間毎に攪拌し、麦の発芽によって発生する熱を均等にする。かなりの重労働らしいが、窓は開け放たれているので、この過程で周囲の自然環境からの様々な影響も麦に混ざる)
フロアモルティングや樽熟成の際に混ざり込んでくる強い潮風風味、仕込み水として使われるミネラル成分の強い硬水などもその独特のフレーバーに影響している。
さて、今回ご紹介する「ハイランドパーク 12年」だが、
スパニッシュオーク、アメリカンオークのシェリー樽(ファーストフィルのシェリー樽を20%、残りがリフィルのシェリー樽)で12年以上熟成させた原酒を掛け合わせて作られたもの
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
さて、そのお味はいかがなものだろう・・・
潮風の影響や焚かれたピートに混ざった海藻からか、昆布やワカメのような海藻の風味を感じられるのが独特。
そこに、これまた独特なハチミツのような、甘いタレのようなもの、イチジクやキンカンなども彷彿とさせるフルーティな酸味と甘味が絡む。
何だか、塩味、甘味、酸味の絡み具合が、どことなくポカリスエットのような味を醸し出しているように思えた。
個人的には、本格的にハイランドパークうまいな、と思ったのはもっとピートが濃いめのヴァルクヌートを飲んだ時だったけど、この12年はコスパも良いし人気も高い。優しい甘さを持った海のモルトを求めている方、試してみる価値はあると思う。
蘭子