グレンフィデック12年のテイスティング・言わずと知れた売れっ子。「シングルモルトウイスキー」の立役者

グレンフィディックはスコットランドでももっとも多くの蒸留所が密集するスコッチウィスキー最大メッカとして知られるスペイ川流域のエリア(※1)、通称スペイサイド(全長172キロの川の流域に、なんと50もの蒸留所がある)にある蒸留所のひとつ。

山に囲まれ、豊富な緑や花々と良い水に恵まれたスペイサイドのウィスキーに共通する特徴は、比較的飲みやすい華やかな甘さであると言われている。

↓スペイ川とスペイサイドにある蒸留所(なんとこの地域だけで50以上ある)

 

グレンフィデック蒸留所(ウィリアム・グラント&サンズの傘下)は、スペイサイドはダフタウンに1886年に設立された蒸留所。

ダフタウン地区はスペイサイドの中でもウイスキー産業が大変盛んで、バルヴェニーやキニンヴィ、モートラック、クレイゲラヒ、ダフタウンなど多くの蒸溜所がひしめき合っている町として知られている。ちなみにバルヴェ二―とキニンヴィはグレンフィデックの姉妹蒸留所。バルヴェニーはグレンフィディック創業から5年後の1892年、ウィリアム・グラントによって建設。キニンヴィは1990年に設立された。

ゲール語で「鹿の谷」を意味し、そのためグレンフィディックのボトルには牡鹿のシンボルが付けられている

ブレンデッドウイスキーが主流の時代に「シングルモルトウィスキー」というジャンルを世界に知らしめた立役者であり、2015年にグレンリベットに抜かれるまでは世界一の売り上げを誇るシングルモルトウイスキーであり、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジで最も多くの受賞を勝ち取った銘柄でもある。

http://www.quazoo.com/q/glenfiddich_distilleryより

歴史をたどってみると

もともとモートラック蒸溜所で働いていたウィリアム・グラント。彼が1886年、カーデュ蒸溜所のポットスチルや麦芽の粉砕機、仕込み水を汲みあげる為の水車などが売り出されているのを知り、それを機にモートラックを退社し、自らの手でウイスキーを作る為に蒸溜所を建設したのがはじまり。
資金難のため備品は中古品を、その他の蒸溜所建設に関しても子供を含めて家族総出で、ほぼ全て手づくりで造り上げられたのだそう。ちなみに、グレンフィデックは、始まりから今まで一貫して家族経営を守り続けている。昔ながらの家族経営を守り抜いている蒸溜所としては他にはグレンファークラスなどが有名だが、これはスコッチ業界でも今は珍しい

1920年代、禁酒令の廃止とともに良質なウィスキーの需要が高まるとともに確固たる地位を築くことになった。

50年代に、グラント一家は、自らの蒸溜所内に銅製の蒸留器を維持する銅器職人や専任の樽職人などの下部組織を設置した。この的確な人材配置が、現在もグレンフィデックの安定した品質管理を支える要因となっている。

1960年代と70年代はウイスキー製造業にとって困難な時期であり、多くの小さな、独立した蒸留所が買収されたり廃業したりした。しかしこの時期を生き残るために、W・グラント&サンズは飲料の生産を増加させ、広告キャンペーンを行ったりビジターセンターを設置したりするなどの活動を行った
またシングルモルトを独自にプレミアムブランドとしてマーケティングすることを決定。これが現代におけるシングル・モルト・ウイスキーという分野を作り上げる先駆けともなった。

(一部ウィキペディアより)

さて、その味わいはいかなるものだろう・・・

グレンフィデックの蒸留機28機。スコットランドで最多だそう。

より

洋梨とレモン果汁を振りかけたバタークッキー
緑の草束に包まれたビターな麦
澄んだ川の水に溶かした生クリームとシロップ
88点
するするスイスイいけてしまうこの軽やかさと華やかさ、洋梨やシトラス、クッキーのような優しい甘み、しかしキリっとビターな麦感もあり、しめるとこしめてる。
まさにスコッチの入り口というか王道というか、万人ウケする飲み易さとクセのないフレッシュ&フルーティな味わいが素敵。これも色々とキャラの濃いものを飲み慣れてから改めて飲んでみると、その澄んだ水のようなクリアさと優しさに驚かされる。
普通のスーパーにもあり、ありふれた銘柄だが、改めて飲んでみると、あなどれないクォリティだと思ってしまう。
去年、新しいボトルデザインにリニューアルされたが、中身の方はどうなのか、気になるところ。
ちなみに90年代や00年代に出回っていた旧ボトルには、現行ものとは結構違うずっしりとした麦の甘みがあった。すっきりクリアになった現行品との飲み比べも楽しい。
蘭子
おすすめの記事