ポートシャーロットPAC:01は
高品質な樽✖️ヘビリーピーテッドのウイスキーが融合し作り上げる、新しい風味を探求するブルックラディ蒸溜所のカスクシリーズの一つ
ポートシャーロットPAC:01は、「ポートシャーロット MRC:01」「同 OLC:01」に続く第3作である。
ファーストフィル・アメリカンウイスキー樽で6年熟成したのち、フランスのジロンド川左岸ポイヤック地区の赤ワイン(※)に使用されていた樽で2年の追加熟成を施されたモノ。カスクストレングスで度数は56・1度
PACとは、その地区名「ポイヤック(Pauillac)」から。CはCask(樽)
※ポイヤックは、フランス高級ワインのメッカ・ボルドー地方メドック地区のジロンド川左岸に位置する村。ブドウ品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローが主体だが、ポイヤックのものはメドックの他の村と比べるとカベルネ・ソーヴィニヨンの割合が高めで、長期熟成型の濃厚でタンニンが濃い。
さて、その香りとお味は・・・
タバコの灰とダークチェリー
インクとダークチョコを混ぜた腐葉土
クローブを入れすぎた辛いホットワインを
古い木の机に垂らす
91点
焦げた木材の灰や炭に、辛口赤ワインの重厚な果実香が混ざった複雑な香り。
味わってみるとハイカカオなダークチョコに、濃厚なピート成分からくる干し藁の混ざった腐葉土のような香味と、樽の香味のウッディさが混ざった、やはり非常に複雑な甘苦さ。
奥から染み出してくるのは、クローブとシナモンがたっぷり入ったスパイシーで濃厚なホットワインのような重厚な味わい。
ピーティながら甘酸っぱくフルーティ、という元々豊かな香味のレイヤーを持つポートシャーロットに、さらにいろいろなスパイスをぶっ込んだ濃厚なホットワインを混ぜて煮詰めました、みたいな
様々な味わいが複雑に重層的に織り込まれた、まるでゴッホやセザンヌの何度も重ね塗りされた厚塗りでゴツい油絵のような、そんなウイスキーである。
複雑で濃厚でゴツいのだけれど、凝縮された情熱とロマンの熱が、全てをエレガントに溶け合わせている
結構これはウイスキー経験値が豊かで多様であるほどその味わいを楽しめるやつなんじゃないかなあ、と思う。
赤ワインの旨味とヘヴィピートウイスキーの合体、その一つの絶妙かつ凄みある結論。
ありきたりな飲みやすいウイスキーに飽きた方は、ぜひ試していただきたい傑作である。
限定品で既に入手困難なのがアレだが、バーなどで見つけたらぜひ
蘭子