ロッホナガー蒸溜所はスコットランドは東(または中央)ハイランドのアバディーン、ディー川上流域のロッホナガー(「岩の露出した湖」の意味)山の近くに、地元の資産家ジョン・ベグによって1845年に設立された
↑ハイランド(及びアイランズ、キャンベルタウン)の主な蒸溜所
この蒸溜所のウイスキーにロイヤルが冠されたきっかけとして有名なエピソードがある
ロッホナガー蒸溜所が建てられてから3年後の1948年に、王室が蒸溜所近くのバイモラル城を別荘(夏の離宮)として入手した。
そこでジョン・ベグが招待状を送ると、その翌日、アルバート公とヴィクトリア女王が訪れ、ベグの案内で蒸溜所を見て回った(アルバート公は機会好きでもあったらしい)という。
その際に試飲したウイスキーについても大いに気に入った女王夫妻は数日後、蒸溜所に「王室御用達」の勅使状を送った。
以来、ロッホナガーは頭に「ロイヤル」の名を冠して呼ばれるようになった。
女王が愛飲の極上ボルドーワインにロッホナガーを数滴垂らして飲んでいた、という話も有名だ。
かなり小規模の蒸溜所で、オフィシャルとしてはこの12年もの以外は現在は出ておらず(限定品などを除く)ボトラーズものも見かけない。
「ジョニーウォーカー・ブルーラベル」や「VAT69」など有名ブレンデッドウイスキーのキーモルトとしても知られている。
さて、その香りとお味はいかがなものか・・・
ヘザーの花畑
ソープ風味のマスカット
ハチミツがけオレンジピール
89・5点
第一印象はお花畑。またはヒース(ヘザー)咲き誇るハイランドの野原
高級ソープのような芳香や、ハチミツの甘みも混じったまさに「華やか」で上品な甘味を醸し出す豊かな香り
味わってみればマスカットの甘酸っぱさや、オレンジピールの甘さとほろ苦さに、やはり花々の芳香が混じったハチミツの甘味がじんわりと
内陸部のハイランドやスペイサイドの、例えばダルウィニーやクライヌリッシュ、またはクラガンモアなどにも通じる、花々咲き誇る風景が思い浮かぶ「華やか」系モルトの優等生であり「ロイヤル」の名に恥じない香り高いウイスキー
しかしこのクォリティと高級感溢れる名前の割に、3000円台で買えてしまうのは驚きである
ベンネヴィス10年やアバフェルディ12年などと並ぶ、コスパ最高峰のハイランドモルトだ。ウイスキー初心者に勧めるのにも最適
蘭子