「ポートシャーロット」は元々はアイラ島の村の名前で、ブルックラディ蒸溜所の隣に位置する。
かつてはポートシャーロット蒸溜所、というのもあったよう(のちにロッホインダールと改称)だが、後に閉鎖されている。
銘柄としての「ポートシャーロット」はその伝説の蒸溜所に因んでネーミングされた、「ブルックラディ蒸溜所」にて作られているフェノール値約40ppmのヘビリーピーテッドモルト。
ポートシャーロットは2006年に5年熟成のものが発売されて以来、1年ごとに6年ものから8年ものまでカスクストレングスで限定発売されたが、その後、デザインも中身も一新されて2018年に
ポートシャーロット 10年
ポートシャーロット アイラバーレイ
がオフィシャル定番ボトルとして発売された。
今回はレヴュー済みのポートシャーロットアイラバーレイの2011年(2011年に蒸留され、2018年にボトリングされた6年熟成もの)の後継である「ポートシャーロット アイラ・バーレイ2012」。
「テロワール」というワインづくりから来ている概念を掲げるブルックラディだが、収穫された大麦とその蒸溜年の「ヴィンテージ」による味わいの違いを楽しむ、というのもまたワインづくりに近いものがある
これも6年熟成。ファーストフィルのアメリカンオーク樽75%、セカンドフィルのワイン樽(シラーとメルロー)が25%という樽構成も同じ
ラベルには使用されている大麦が収穫された農場も全て記されている。
以下公式より
「ポートシャーロット アイラ・バーレイ 2012」は、パートナーであるアイラ島の8軒の農場:イアン・トーランス(スターチミル)、ハンター・ジャクソン(クラック)、イアン・マッケレル(アイランドファーム)、レイモンド・フレッチャー(ダンロシット)、ドナルド/アンドリュー・ジョーンズ(コール)、マーク・フレンチ(ロックサイド)、アラステア・トーランス(ミュリンドリー)、レイモンド・スチュワート(サンダーランド)らの収穫した大麦を使用し2012年に蒸留、海岸沿いの貯蔵庫で熟成したウイスキーです。
さて、そのお味は・・・
焚き火の炭の奥から滴るハチミツ
潮水入りメロンクリームソーダ
炭鉱労働者の汗に
キウイとオレンジの果汁
90点
地元アイラ島の原料にこだわりを持って作られている「アイラバーレイ」シリーズ
農家ごと、そして品種ごとに仕込みを行なっているらしく、ブルックラディのボトルには作られた農家と品種が明記されてもいる。
2011年バージョンがレイモンド・スチュワート(サンダーランド農園)、ニール・マクレラン(キルヒアラン農場)、レイモンド・フレッチャー(ダンロシット農園)と、3つの農場で2011年に収穫されたものを使っていたのに比べ、2012年バージョンは8軒の農場で収穫されたもの、ということで規模が拡大されている。
味わいにも若干の変化が見られ、2011年バージョンよりも味わいのトップに来るスパイシーさや酸味が少し抑えられ、かわりにボトムにじんわり来るハチミツのような甘味が増しているような感じがあった。個人的な好みとしてはどっちかといえばトップノートの酸味とスパイスが鮮烈な2011年バージョンかもしれない。
だが、何度も飲み比べしているうちにちょっとどっちがどっちか分からなくなってきた笑
ポートシャーロットアイラバーレイ2011 、2012、それからポートシャーロット10年の3本をブラインドで飲み比べてみたら、どれがどれだか判別をつける自信はないかも笑
今度は大麦の品種自体が違うベアバーレイを改めてレヴューしてみたい(これは前にウイスキーフェスで試飲して結構感動した記憶が)。
蘭子