グレンスコシア ・ダブルカスクのレヴュー・キャンベルタウンの生き残り。潮辛いキャラメルみたいなウイスキー

 

かつては30以上もの蒸留所があり、ニッカの創業者、竹鶴政孝も修行で滞在したことでも知られるキャンベルタウン。この町はかつて「ウイスキーの首都」と呼ばれ、19世期半ばの最盛期には30近い蒸溜所でひしめき合っていた。
しかし、米国における禁酒法の時代、密輸で粗悪な商品を大量に販売していたこともあり、その悪評判から衰退。1920年には20ヵ所、10年後の1930年には3ヵ所、そして、1934年には、とうとうスプリングバンクとグレンスコシア の2ヵ所だけになってしまった

今回ご紹介するキャンベルタウンの数少ない生き残りの一つであるグレンスコシア は1832年に創業。度重なるオーナー交替と閉鎖・再操業を繰り返し、コンスタントに生産を行うようになったのは2000年からである。
2014年からはロッホローモンドグループ傘下となり、ラインナップのリニューアルを図ってきた。
しかし造りはキャンベルタウンモルトの往年のスタイルを貫き、100年以上前のボビーミルや鋳鉄製のマッシュタンを今も使い続けている。

今回ご紹介する「ダブルカスク」は、ファーストフィルのバーボン樽熟成の原酒をペドロヒメネスシェリー樽で12ヶ月後熟したもの。

さて、その味わいは如何なるものか・・・

 

 

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海の潮に溶かしたキャラメル
ブラウンシュガー入りコーヒーに浸したメロン
麦パンに塗った葡萄とレーズンのジャム

89点

キャンベルタウン系のウイスキーはブリニー(塩辛い)なのが特徴だけど、全シングルモルトを見渡しても、このグレンスコシア ほど「塩辛い」ウイスキーも稀だと思う。最初は面食らう人もいるかもしれない。
でも奥からキャラメルやブラウンシュガーのような甘味、メロンのような甘酸っぱさも染み出して、濃厚なビター&スイートを演出。シガーにも相性が良いのではないか。
加水するとよりそのキャラメルのような甘味が伸びてくきて、塩キャラメル感が出てくるし、奥にあるシェリー樽由来のドライフルーツ感もわかりやすくなってくる。
なんと言うか、真夏の運動部のしごきに耐えた後、休憩時間にかわいいマネージャーにジュースをもらった、みたいな笑。個人的には、どんどんクセになってきた
同じキャンベルタウンでもスプリングバンクやキルケラン ほど親しみやすいとは言えないが、ありきたりなのには飽きた、ガツンとくる強烈なのが欲しい、と言う人はぜひ

蘭子

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