インチガワー14年(花と動物シリーズ)のテイスティング&レヴュー・ブリニー(塩辛い)だけど華やか。個性派スペイサイドモルト!

今回も『UD社 花と動物シリーズ』より

ブレンデッドウィスキー「ベル」の原酒にもなっているインチガワー(「川のそばの山羊の牧草地」の意味)の14年もの。

ベル以外にもホワイトホースやジョニーウォーカーの原酒としても使用されているが、シングルモルトとしてボトリングされるのは総生産量のわずか1パーセントだといわれている。シングルモルトとしては「花と動物」シリーズからオフィシャルボトルが出ている以外ではボトラーズからもちらほらとリリースがある。

花と動物シリーズは、現在は世界最大の蒸留所オーナーであるディアジオ社に合併されたUD(ユナイテッドディスティラーズ)社がリリースしている、ラベルに花や動物が描かれたシリーズ。

インチガワーには、ハイランドの海辺でよく見かけるオイスターキャッチャー(ミヤコドリ)の姿が。

インチガワーはスペイサイドの蒸溜所としては珍しく、河口の港町にある(かつてニシン漁で栄えたのだとか)そのため、スペイサイドモルトにカテゴライズされるウイスキーとしては珍しいブリニー(塩辛い)風味が出るのだという。

かつてから比べるとラインナップは縮小されている(代わりに、当初は蒸溜所オフィシャルがなかったものが、蒸溜所オフィシャルをちゃんと出し始めたり)が、オフィシャルではリリースされていない蒸留所のシングルモルトを楽しめるシリーズである
ちなみに、現在のラインナップは以下(北ハイランドのティーニニックや南ハイランドのブレアアソール以外は殆どがスペイサイドのもの)


・グレンロッシー(GLENLOSSIE)10年
・オスロスク(AUCHROISK)10年
・グレンスペイ(GLENSPEY)12年
・マノックモア(MANNOCHMORE)12年
・ストラスミル(STRATHMILL)12年
・リンクウッド(LINKWOOD)12年
・インチガワー(INCHGOWER)14年
・ベンリネス(BENRINNES)15年
・ダルユーイン(DAILUAINE)16年
・ブレアアソール(BLAIR ATHOL)12年
・ティーニニック(TEANINICH)10年


↓スペイサイドの主な蒸溜所

さて、そのお味はいかがなものでしょうか・・・

塩バタークッキーとヘザーハニー
マスカットをのせた桃のコンポート
持続するバニラクリームの倍音と
古い木の椅子

90点

海辺の港町の蒸溜所だからか、やはり潮の香りをまとう空気の影響を受けてしまうのか、スペイサイドモルトにしてはブリニー(潮または塩っ気)な個性派、という触れ込みも、実際に味わってみてうなづける。塩バタークッキー、または塩バニラをかけたバタースコッチ、という感じのリッチでクリーミーなまったりテイストが素晴らしい。

スペイサイドモルトらしい華やかな香りをまとった甘みもじんわりと豊かだけど、芯には樽由来のビターなウッディさも感じられて複雑。
華やか美女なリンクウッドに比較して渋さもあって、ちょっとこう、鍛錬した男の色気みたいなものも感じる

知名度は高くないが、ハイレベルかつ万人受け必至の逸品。

蘭子

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