ベンロマック10年のテイスティング&レヴュー・G&M社が目指す、古き良き「ザ・クラシックスペイサイドシングルモルト」

ベンロマック(ゲール語で「木や草の生茂る山」の意味)蒸溜所は

スコットランドでももっとも多くの蒸留所が密集するスコッチウィスキー最大メッカとして知られるスペイ川流域のエリア、通称スペイサイド(全長172キロの川の流域に、なんと50以上もの蒸留所がある)にある蒸留所のひとつ。

山に囲まれ、豊富な緑や花々と良い水に恵まれたスペイサイドのウィスキーに共通する特徴は、比較的飲みやすい華やかな甘さであると言われている(もちろん製法によっては例外も豊富)。
↓スペイ川とその周辺( スペイサイド)にある主な蒸留所(ベンロマックは西の外れ)、

ベンロマック(ゲール語で「木や草の生茂る山」の意味)蒸留所はスペイサイド西側のフォレスという町にある。

創業は1898年だが、約100年にわたり経営は安定せず、オーナーが幾度となく代わりながら再開と休業を繰り返す。

運命が大きく変わったのが1993年。ボトラーズ最大手との呼び声高いゴートン&マクファイル(G&M)社がベンローマックを買収。約5年をかけ、全力でベンロマックを立て直し、1998年に操業を再開。

5年間の試行錯誤で生みだされたのは古き良き時代のスペイサイドスタイル。つまりフェノール値8〜12ppmのライトリーピーテッド麦芽で仕込むことだった(フロアモルティング時代はどこの蒸溜所もこのライトピートなスタイルだった)。ベンローマックはこのライトピーと麦芽以外は使わない。

また、1960年台の伝統的なスペイサイドモルトスタイルにこだわり、生産工程は全て4人のスタッフの手作業であるという。

2009年にはスタンダードである10年物が、2018年には15年物が出た。

今回ご紹介するベンロマック 10年は、バーボン樽(ジャックダニエルを作ったもののみ)、シェリー樽で10年以上熟成させたものをブレンディングさせた、再生されたベンロマック蒸溜所の入門の一品。

ベンロマック 10年はその華々しい受賞歴でも有名である(以下、その受賞歴を列挙)

・サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション 2020 金賞
・ワールド・ウイスキー・アワード 2018 部門別金賞
・ワールド・ウイスキー・アワード 2017 部門別最優秀賞
・ブリュッセル国際コンクール 2017 優秀金賞
・ワールド・ウイスキー・アワード 2016 部門別金賞
・サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション 2016 最優秀金賞
・アルティメット スピリッツ チャレンジ 2016 最優秀賞 100点満点中95点
・キャセイパシフィック 香港 インターナショナル 2015
ワイン&スピリッツ コンペティション 金賞
・スコッチ・ウイスキー・マスター 2015 金賞
・インターナショナル スピリッツ チャレンジ 2015 銀賞
・ワールド・ウイスキー・アワード 2014 部門別金賞

さて、そのお味はいかがなものだろう・・・・

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

みたらし団子のタレをかけた青リンゴ
黒糖と焦がし醤油
焚き火を眺めながら食べる
ハチミツがけオレンジピール

 

90点

 

 

青リンゴやオレンジなどのフルーティさもありつつ、みたらしや黒糖のような、何というか日本的な下町的親しみやすいコクがある甘みが強い。
ピートがいい感じに効いており、それもアイラ系のようなヘヴィでヨード(海藻っぽさや潮気)感たっぷりというのではなく、かすかに焦げた薪や古い木製家具のようなウッディな香ばしさ。なんだか焚き火とか木炭ストーブを彷彿とさせ、不思議と暖かい気分に

この親しみやすさと完成度。常備しておきたいなあ、と思わせる一品だ。なるほど、「ザ・クラシックスペイサイド」もハッタリじゃあない。
新ボトルに変わってしまったようだが、自分的にはやはりこちらのデザインがかっこよかったな、と思う。飲み比べもいずれ。

 

 

 

 

蘭子

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