グレンモーレンジィネクタドール12年のテイスティング・樽のパイオニアによる、ソーテルヌワイン樽後熟の美酒

グレンモーレンジィ・ネクタドールは

既にご紹介済みのグレンモーレンジィオリジナル10年

の姉妹品

グレンモーレンジィは「樽のパイオニア」とも呼ばれている。

これは一般的なオーク樽やバーボン樽で熟成を行った原酒を、シェリー樽やマディラワイン樽、ポートワイン樽、ソーテルヌワイン樽など様々な樽に移し替えて行う後熟(追熟)の技術に長けているからだ(そもそもスコッチウイスキーの熟成においてバーボン樽を始めて使用したのもグレンモーレンジィだったそうだ)

グレンモーレンジィは後熟用に特別に作られた「デザイナーカスク」を巧みに増やし、味や香りのバリエーションを作っている(これは蒸留最高責任者であるビル・ラムズデン博士の実験精神によるところが大きい)。そのためグレンモーレンジィにはウッドフィニッシュ(樽による後熟)が施された様々な種類のボトルが存在する。

今回ご紹介のグレンモーレンジィネクタドールは、通常の10年ものを「ソーテルヌワイン樽」にて2年の追加熟成をさせたグレンモーレンジィである。ソーテルヌとはフランスの南西部にあるソーテルヌ地方で作られる貴腐ワインのことで、非常に甘みが強いことで知られている。ソーテルヌワインは通常、フレンチオークの新樽で3年熟成させる。

ネクタドール、とは「金色に輝く神々の美酒」という意味(「NECTAR」はギリシア神話における神々の飲み物のこと。口にすれば不老不死となる霊酒)

さてそのお味はいかがなものだろう・・・

ハチミツバターで煮詰めたマスカットの皮

オークの木皿に載った白葡萄と桃

地下室の石壁から生えたキノコ

89点

極甘口のソーテルヌワインならではのハチミツや白葡萄やマスカットや桃の濃厚な甘みと酸味がじゅわーっと湧き出してくるが、決して甘ったるいわけではなく、オークの樽成分から滲み出たビターでスパイシーな木香がシャキッと芯を決めてくれてもいる。

後味が不思議。地下の石壁、または採りたてのキノコのような、古びた何かに付着した黴のような、そんな風味がかすかに。これ、ワインやブランデーの酸化熟成の際に生まれるいわゆる「ランシオ香」(貴熟香とも訳される、黴っぽいような古びた感じの香り)に近いもの? これもおそらくソーテルヌワインからくるものか。

フルーツ盛りパーティから地下室の石壁に生えたキノコまで、不思議な風景が広がるウイスキー。現在は12年表記がなくなっているが、味の方は変化したのだろうか?飲み比べも楽しそうだ

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