「タリスカー10年」は、
スコットランド北西のへブリティーズ諸島にある「スカイ島」の唯一の蒸留所「タリスカー蒸留所」(1830年開業)を代表する1本
タリスカー、とは古代ノース語(バイキングの言葉)で“Thalas Gair(傾いた大岩)”という意味らしい
スカイ島の位置↓
(http://www.newcomerswhisky.com/2015/04/01/whisky-review-talisker-port-ruighe/ より)
ときに「舌の上で爆発するような」とまで言われる程の独特の「胡椒のようなスパイシーさと、潮臭さ」でせまる、たいへんキャラクターの強いシングルモルトとしてウィスキー好きの間では評判の高い「タリスカー」。これほどその生まれ故郷の自然をよく体現したウイスキーは他にない、といわれている。
タリスカー蒸留所が立つ場所は北緯57度、札幌市の北緯43度と比べるとかなり北寄りの土地(しかし、近くを流れるメキシコ湾流の影響で冬でもそれほど気温は下がらず、雪が積もることはまれ)非常に変わりやすい天候が特徴で、冬場は外海が荒れ、大波が沿岸の荒々しい岩肌に打ちつける。
タリスカーのスパイシーな刺激は、まさにこの激しい波しぶきの写し絵のよう。
また、別名ミストアイランド(霧の島)と呼ばれるほど濃霧に覆われる日が多く、その呼び名の通り、スカイ島では頻繁に雨が降る。そして岩石質の地層がこの雨水を絶え間なく海に向かって流し続けるのだが、タリスカーはその仕込み水として、この雨水から生まれる湧き水を使用している。
また、麦芽乾燥の際に使用されるピート(※)もスカイ島原産のもので、これが特徴的なスモーキーな味わいも生んでいる。タリスカー独自の味わいを特徴づけているのは、まさにスカイ島の自然であるといえる。
そしてさらには製造工程にもタリスカーならではの独特のものがある。特に精留器(ピュリファイヤ―)付きの独特な形のポットスチル(蒸留器)による蒸留と再蒸留(※2)の工程がタリスカー独自の味わいの魔法を生んでいる一因であるようだ。
※1 植物の遺骸の堆積と泥が混ざって炭化したもの(泥炭)。その地でとれた天然のものを使うことが多い。これは原料に加える仕込み水にも混ざっている。多様な植物の他、海岸の海藻や貝殻なども混ざり、それらが味わいに大きな影響を及ぼす。
※2 初留釜で蒸溜された蒸気のうち、重いものは精留器(ピュリファイヤー)により、再び初留釜の中に還流される。気化と液化を繰り返すことでよりクリアな初留液が生まれる。創業当初は3回の蒸留だったものが、現在は2回蒸留に転換。
スカイ島の様子↓
(https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2141007/A-Skye-fi-thriller-Isle-perfect-alien-environment-new-blockbuster-Prometheus.html より)
さて、その味わいは・・・
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潮しぶきのふりかけられたなめし革と岩壁
燻した麦とパイナップルをくるんだ海藻
舌の上に広がるスパイスのシャワー
89点
アイラ島のウィスキーとはまた異なる個性を持った、かすかなスモーキーさとともに独特の海の風味を感じる小さな島の酒。
最初に来るのはなめし革のようなコクを含んだ、燻された麦の甘みと、岩塩のような鉱物ミネラルを含んだ海の香り
そしてタリスカー独特のスパイシーな余韻が爽やかに響く
ハイボールにするとまた非常に素晴らしい個性を発揮することは有名で、実際、これがほんとにうまい。焼き鳥とかに合いそうだ。
また、タリスカーハイボールに黒コショウを足すとそのスパイシーさが際立ち、また一層おいしいとのことだ。
3000円台で買える。ファンの多い名作のひとつなので、ストレートにハイボールに、ぜひぜひ試してみて欲しい。
蘭子