グレンファークラス蒸留所は、スコットランドでももっとも多くの蒸留所が密集するスコッチウィスキー最大メッカとして知られるスペイ川流域のエリア(※1)、通称スペイサイド(全長172キロの川の流域に、なんと50もの蒸留所がある)にある蒸留所のひとつ。
山に囲まれ、豊富な緑や花々と良い水に恵まれたスペイサイドのウィスキーに共通する特徴は、比較的飲みやすい華やかな甘さであると言われている。ピートの香りがきついものはほとんどない。
↓スペイ川とスペイサイドにある蒸留所(なんとこの地域だけで50以上ある)
グレンファークラス蒸留所が創業したのは1836年。
グレンフィデックと並び、創業者一族が今でもファミリー経営を続ける数少ない蒸留所で、現社長は1族の5代目にあたるとのこと。
グレンファークラスとはゲール語で「緑の草原の谷間」という意味(ゲール語でグレンファークラスと同名で名付けられた園芸用の美しい花もあるらしい)
その名が示すとおり、標高814メートルのベンリネスの山々を望むスペイ川流域の峡谷、ヒースに覆われた広々とした草原が続く美しい場所にある。
グレンファークラス蒸留所で使われる仕込水は、ベンリネスの山の雪解け水で、ヘザーと花崗岩の大地を流れ下った極めて良質な軟水なのだという。
グレンファークラス蒸留所
https://chilledmagazine.com/the-12-best-distillery-visits-in-scotland より
グレンファークラス蒸留所のポットスチルはスペイサイド最大級で、直火型のポットスチルを使用。ガスバーナーにより直火炊きで加熱され蒸留が行われる(※)
10年、12年、15年、17年、21年、25年、30年、40年、さらには105(105プルーフ、つまりアルコール60であること)と多彩なラインナップをそろえるグレンファークラス、
シェリー樽、それもファーストからサードフィルまで様々な種類のシェリー樽を使い分けての熟成へのこだわりでも知られている。
今回テイスティングしたのは15年ものである
※ポットスチルの形状や加熱の方法は酒質に大きな影響を与える。大まかに言えば、原酒に含まれるリッチで濃厚な部分と、ライトでスムースな部分、どちらが多く含まれるか、である。
スチルが細く短い程、原酒の温度も、さらには内部密度も高くなり、沸点が高いリッチで濃厚な部分がより多く送られる。逆に太く、長いほど、ライトでスムースな部分のほうが多く送られる。
また、加熱法も、直火のほうが急激な温度上昇をもたらし、必然的にリッチで濃厚な部分が多く送られることになる。グレンファークラスのリッチな酒質は、スチルの直火焚き加熱も影響している。
さて、その味わいは・・・
古い漬物樽の中の濃密ロールキャベツに
ビタースウィートコーヒーを混ぜる
麦の香りにガソリン漬けドライレーズン
発酵ハチミツと油絵を
ヴィンテージのランプが照らす
http://kimka.dk/rejser/skotland-2014/glenfarclas-smws-46-14.htmlより
89・5点
まさにフルボディ、というずっしりしたうま味のつまった傑作だ
重厚な甘味と苦味
ヴィンテージ感あふれる濃厚フルーティさは
シェリー樽の底力を伝える
このクォリティで5000円台で買えてしまうのはコスパがいい、ととらえるべきだろう。
買いである。
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ベビーサイズも売っている。
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蘭子