マッカラン蒸留所は、スコットランドでももっとも多くの蒸留所が密集するスコッチウィスキー最大メッカとして知られるスペイ川流域のエリア(※1)、通称スペイサイド(全長172キロの川の流域に、なんと50もの蒸留所がある)にある蒸留所のひとつ。
山に囲まれ、豊富な緑や花々と良い水に恵まれたスペイサイドのウィスキーに共通する特徴は、比較的飲みやすい華やかな甘さであると言われている。ピートの香りがきついものはほとんどない。
↓スペイ川とスペイサイドにある蒸留所(なんとこの地域だけで50以上ある)
マッカラン蒸留所↓
1824年正式創業のマッカラン蒸留所は、ザ・グレンリベットに続き史上2番目に政府認定を受けた名門(もちろんそれ以前から非公式にウィスキーを作っていた)。
イギリス最大の老舗高級百貨店ハロッズが出した「ウィスキー読本」の中で「シングルモルトのロールスロイス」とたたえられた名品で、
著名な評論家マイケル・ジャクソン氏の採点でも、12年ものが91点、18年が95点と全モルトの中でも最高得点に近い評価を受けたこともある(しかし、これは現行のものではなく、旧バージョンでのこと)
世界市場でもシングルモルトとしてはトップクラスの売り上げを誇る、スコッチの代名詞、言わずと知れた有名ブランド「マッカラン」である。
最大の特徴は熟成にシェリー樽のみを用いていた点(現在はバーボン樽使用のバージョンのものも発売されている)またその樽づくりへのこだわりである。
長年の研究からオロロソシェリーの樽のみ使用することに決定。1976年にはスペインに進出し、スパニッシュオークを使った新樽を自社で作り、それをシェリー酒醸造業者に無料提供。そして2~3年熟成させた後にスコットランドへと運ぶ、というシステムを作り上げたほどの徹底ぶりである。
(https://www.tripadvisor.jp/LocationPhotoDirectLink-g658240-d2267624-i251544275-The_Macallan_Distillery-Aberlour_Moray_Scotland.html より)
また原料の大麦も、かつては抽出できるエキス分が優良であるゴールデンプロミス種に限定されていた。しかし育てにくい品種であることから、品種改良の波に抗うことができず、このゴールデンプロミスの供給量も減少していったようで、今では100%この品種が使われるということないようだ(自社栽培もされているようだが)。
現在はゴールデンプロミスの代わりに、やはり自社栽培であるミンストレル種が主であるよう。
http://flyingscott.sblo.jp/article/46038301.html より
オールドボトルが話題になることがかなり多いマッカランだが、現行のものと昔(年代には幅があるがだいたい1970~1990年代など)流通していたものでは、熟成年数の同じものでも味が大きく違っていることがよく話題に上がる(昔のものは今のものと比べてより重厚)
それは、樽の質の違い(世界的なウィスキーブームにより、良いシェリー樽が不足してきているよう)使われている大麦の種類(ゴールデンプロミスの使用率)原酒の配合率(やはりウィスキーブームによる原酒不足で、ブレンドの際に配合される古酒の割合も少なくなっているようだ)などの差異が関係しているようだ。
オールドボトルも出回って入るが、希少かつ高価。しかしバーなどで見つけたら飲んでみる価値はかなりあるだろう。
旧バージョンはデザインも違う↓
さて、今回は現在出回っているもっともスタンダードな商品『マッカラン12年』をテイスティングしてみた。
その味わいはいかに・・・
アンティークの揺りかごに寝そべるレーズンとプルーン
http://webneel.com/25-hyper-realistic-still-life-oil-paintings-alexei-antonov-old-masters-technique
https://www.artfinder.com/product/still-life-fruits-pomegranate-and-grapes-original-oil-painting/#/ より
90点
これはこれでかなりうまいじゃないですか
現行バージョンより昔のほうが、といろいろ言われているから、最初はおそるおそるではあったのだが、充分素敵なウイスキーなのではないかと
ドライレーズンっぽい甘味の芳醇さ、オレンジピールやジンジャーっぽいビターさ、適度にウッディ(高級な家具を連想)で、コンソメのような香ばしさも混じる。これは結構万人ウケしそうな美味しさ
とは言え、オールドものや18年ものと比べてしまうと確かに「深い奥行きと重厚感」はいささか薄まっているような気もする。昔と比べるといかにも高級っぽいロールスロイス感は薄れたが、現行ものは良い言い方をすればその分親しみやすさが出たか。
願わくばお値段の方ももうちょっと親やすくなってほしいところではある笑
蘭子