カリラ12年のテイスティング・ライトでフレッシュでミステリアスなアイラモルト。不思議な果実の海とサーモン

カリラ(ゲール語で「アイラ海峡」を意味する。蒸留所の目前に広がるアイラ島とジュラ島の間の海峡。スコットランドの西海岸でももっとも美しい場所と言われている)

ウィスキーの聖地とも呼ばれる・アイラ島(スコットランド本島の西にある小さな島)にある蒸留所のひとつである。

一般的なアイラ島のウィスキーの特徴的なイメージは、

原料の麦芽を乾燥させるために燃やすピート(※1)の焦げたような燻製香の強い主張や、微かな潮風の匂い(ヨード香とも言う)。

南に行けば行くほどこのピート香が強くなると言われているアイラモルト、最南端にあるアードベッグラフロイグラガヴーリンのヘヴィなピ―ティさはやはり有名である。

しかし一方、アイラ島でもブナハーブンと並びもっとも北側にあるこのカリラ、なかでも今回紹介する12年は、アイラモルトの中でもライトで飲みやすい部類に入ると言われている。

1846年設立されたカリラだが、1927年よりラガヴーリン と同じDCL社の所有となる。麦芽もラガヴーリン と同じポートエレン製のフェノール値34〜38ppmのものを使っているが、目指すスタイルは全く異なっている。
ラガヴーリン がリッチで重厚な酒質を目指しているのに対し、カリラはスモーキーでピーティでありつつもどちらかというとライトでスッキリ
これはラガヴーリンのものとは形が異なる、背が高く大きなポットスチルと、水平なラインアームの形が、蒸留の際にライトな部分を多く原酒として取り出すからである。

かつてはそのほとんどがジョニーウォーカーをはじめブレンデッドウイスキーに用いられるため作られていた。スコッチブレンデッドにはアイラモルトが配合されていないものはない、とまで言われているが、実はアイラ島で最も生産量の多い蒸溜所であるカリラがその主要な部分をになっている。
シングルモルトとしては、2002年にヒドゥンモルトシリーズの一つとして発売されて以降、ラインナップも拡充され、ファンを増やしている。

ナムバン湖↓

さて、その味わいはいかに・・・

薄切りのスモークハムにくるまれたハチミツオレンジ
黒飴を溶かしたクレゾール
浜辺で焼いたサーモンにクランベリージュース

 

89・5点

 

さらりとするりと入ってくるライトさがありつつも、独創的なヨード感(潮っぽさ)やフルーティさが絡み合い、多層的で複雑

個人的には、カリラのピートスモークには、スモークハムや焼きサーモンのような独特の塩気・潮気を感じて面白い。
そこにハチミツや、オレンジやベリーのジューシーでフルーティな甘味が絡みついてくる。まさに果実と海鮮の海、という感じ。

アードベッグ 、ラフロイグ、ラガヴーリン のキルダルトン3兄弟に比べると少し目立たない気もするが、唯一無二の不思議なバランスがあり、個人的にはアイラモルトの基本ラインナップの中でも一番愛着が湧いてくる一本である。

蘭子

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